映画えっちほー6


「東京湾炎上」
「零戦黒雲一家」
「宣戦布告」
「ミニミニ大作戦」
「X線の眼を持つ男」
「サラマンダー」
「えびボクサー」
「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」
「ターミネーター3」
「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲」


「東京湾炎上」

 巨大タンカーを乗っ取ったテロリストが、東京湾上でのタンカー 爆破と引き替えに日本最大の石油基地を 自衛隊によって攻撃することを指示。苦肉の策として日本政府は、 希代の特撮スタッフを集め、特撮によるウソ映像の中継にて テロリストを謀ろうとする…。
 あまりに有名なプロットだけ字ズラ並べるとほとんどコメディー映画 ですが、実際にはれっきとしたパニック映画です。東京湾上で 2万トンのタンカーが爆発した際起こりうる災害を、東宝特撮の粋を込めて 描写したシミュレーション映像の特撮もまた見所のひとつ。

 それにしたって、劇中のテロリスト達も乗っ取るタンカーを間違いすぎて います。船長が丹波哲郎、古参のマッチョ船員が宍戸 錠、そして 乗り合わせた石油会社の社員が藤岡 弘(現:藤岡 弘、)です。 スティーブン・セガールが10人ぐらい乗ってる船を 襲ってしまったようなもんです。 この時点でテロリストの全滅は決定していたようなもんと言うか (笑)。
 現在となっては、生活環境を大国の搾取によって追い込まれたが 故に、暴力にて抵抗の意と自らの主張を示すしかなかった劇中の テロリスト達の主張も単純 明快な悪人としてだけ見ることは出来ない。本当、現在のご時世だからこそ 見返す価値はある映画かも知れませんです。


「零戦黒雲一家」

 今時のご時世(2004年初頭)だから見る映画シリーズ。零戦は日本に 生まれ育った男児の心の故郷、この世に生まれて初めて「格好いい」と 思わなければならない実在メカです。すべての男の子のメカ好き嗜好は 零戦から始まらなければならないです。その零戦に昭和のタフガイ、 石原裕次郎が乗るんだから泣くほど格好いいに 決まってます

 さて、内容的にはよく揶揄されるステロタイプの戦記物映画。南方の 孤島の戦場、ハミダシ 野郎ばかり集められた愚連隊に若手の隊長さんが赴任してきて… 「機動戦士ガンダム/第08MS小隊」や「スクール・ウォーズ」も きちんと踏襲している模式美の 世界であります。もちろん裕次郎演じる隊長が、戦火の中でその愚連隊連中 との信頼を熱く結んでいって、対立していた古参兵である二谷英明 (川浜一のワル、松村雄基の役どころ)とも 和解と友情のドラマがあって、そして、最後は島から撤退する仲間達を 救うため、敵機が群れなす空へ、二谷と共に零戦で向かっていく…。 なぜに「ガメラ3」のラストシーンの感想に、 「零戦黒雲一家」みたいだという意見がなかったのでしょう? 愚連隊 連中との触れ合いと生活の和気藹々とした様があって、そして 戦争映画故の悲壮さがあって、その悲壮感が、仲間達を救うために 飛び立つ裕次郎駆る零戦の翼に、友情と決意のドラマへと結実し 昇華されていく…。

 もちろん特攻賛美だとの批判(それがたとえ、自爆テロと等価値に 相対化する言葉であっても…)はあるかも知れません。ただ 「愛するべき者たちのために、己の命を擲って戦いに赴く」、この 敬うべき崇高な精神を描いたラストは、誰がどんな批判の言葉 を浴びせようとも、美しい結末であります。


「宣戦布告」

 今時のご時世(2004年初頭)だから見る映画シリーズ三部作最終章(笑)。 古谷一行演じる小泉純ちゃん( 一応劇中では別の名前)がホゲホゲと 外交している間に、北朝( 一応劇中では別の名前)の工作員が潜水艦で 日本に潜入し、小泉純ちゃんをはじめとする上層部の無能な指示の せいで発砲許可も射殺許可も与えられないまま現場の警官や自衛官が バンバン北朝( 一応劇中では別の名前)の工作員にやられていって、 ついにはアメリカや中国も巻き込んだあわや戦争開始の大事態に…。
 別に左思想はないつもりだけど、上の無能さのために下っ端が苦労する 様を描いたというテーマにおいては「八甲田山」的でもある 映画。いやはや、ある意味自民党にとっての痛手であると共に民主党とか 社民党の方々へのいい嫌味になっていて(国家の一大事の時、自衛隊に 武装や発砲をさせないのはこいつらってこと)、こんな映画見ちゃったら 国民の政治不信は加速するばっかだなとか。

 しかし、こんな映画でも見るべき部分はあって、それはゲリラ戦で 自衛隊を翻弄する北朝( 一応劇中では別の名前)の工作員のアクション シーンであると共に、北朝( 一応劇中では別の名前)本土からのミサイル発射寸前を確認した 小泉純ちゃん( 一応劇中では別の名前)が、ついに航空自衛隊による北朝 (一応劇中では別の名前)への直接攻撃を 決意するシーン…。やっぱり本物と違って、古谷一行が演じる 小泉純ちゃんは格好いいな。これで実際、佛田洋(東映お抱え 特撮監督)による自衛隊による北朝( 一応劇中では別の名前)攻撃シーンがあれば完璧な映画だったのに (笑)。

 あと、特撮ファン的に、この映画何げに特撮関わりの俳優さん が多数出演されております(スーパーGUTSの隊長さんとか 高速戦隊の博士とか 仮面ライダーBLACKの中の人とか 「サイバーコップ」の ジュピターの中の人とか)。そういうの探すあたりもこの映画の 密かな楽しみ方かも。


「ミニミニ大作戦」

(↑上記のラインナップを見て)いかん、女と一緒に見に行ったら 確実にフラれるような、こんな偏ったラインナップの映画ばかり見てて どうする? そういうことでちょっとオッサレーっぽい映画を 借りてみました。
 愛すべき個性豊かなファンキー泥棒連中が、 仲間を裏切り横取りした金塊で豪邸おっ建て、セレブの仲間入りした かつてのメンバーのひとりへの逆襲と奪われた金塊を奪回するべく、 3台のミニクーパーを武器に都会を駆け抜ける…。

 ミニクーパーをフィアットに替えるだけで「ルパン」になるというか、 金曜ロードショーで年イチでやってるルパンスペシャル まんまっぽい映画ですな。まあ元々のルパンスペシャルが こういう映画っぽいのか。

 あ、ラストで「アニマル・ハウス」っぽいメンバーの後日談なんか やってます(←ネタバラシ)。


「X線の眼を持つ男」

 DVD発売記念鑑賞(イヤ見たのはレンタルでだけど)。 B級映画の神様仏様、ロジャー・コーマンの監督作品です。ちょっと パラノイア入った目医者の先生が、なんでもスケスケに見えるすんげー 目薬さこさえました。さっそく若い男女特に女が 踊りまくるダンスクラブへGOです!(観客の期待を裏切らない スケスケダンス映像)
 ところが先生、懇意にしている財団から研究費を打ちきられてしまい ました。実はスケスケアイと引き替えに十代並みのキレやすい衝動を 与えてしまうという目薬の副作用のせいで、ヤバいよー先生あっさり 殺人…。さあ転落と逃亡の人生の始まりです!

 殺人犯として追われる身となったスケスケアイの落ち着く先とは? も ちろんまずは見世物小屋です。キャパ20人程度の 小屋にて透視能力のスターとなるものの、スケスケアイの秘密を掴んだ 小悪党に唆されモグリの霊視ドクターにランクアップです
 しかし噂を聞きつけたかつての同僚が出現して、あっさり再び逃亡の 身に…こうなったら目薬の研究費と逃走資金をまとめて稼ぐべく、 砂漠の真ん中の街でバクチ勝負です! (もちろんスケスケアイのイカサマ付き)

 いやあ、順風満帆な研究者の道から賭博破戒録へ…人生イロイロで あります。純粋に、誤診することなく患者の病の部分を見つけるという 崇高な志のために得たはずの能力が、逆に過ぎた能力として自身を 追いつめていく。それはあたかもヒトにあらざる力を得たことへの神の 怒りのごとく…。
 ラスト、追いつめられた教会の中、神父の糾弾の前に、神の眼を得た男 が最後に見る世界とは? 観客を 飽きさせないエンターティメントとしてのスタイルを保持しつつ、観念的 でもある世界を描いてみせるという(「原子怪獣と裸女」とかも)、 この辺りがコーマンが永く映画界に君臨している クリエイターとしての才のひとつなのかも。


「サラマンダー」

 ロンドンの地下鉄工事現場から、過去の地球を滅ぼしたとされる 怪獣が復活してしまいました。 この導入部だけで「帰ってきたウルトラマン」のファンとしては大満足です

 時は流れて十数年後、すっかり怪獣軍団に蹂躙されてしまった地球、 生き残った人々は怪獣軍団の襲撃に怯えながら「北斗の拳」や 「劇場版仮面ライダー555」でおなじみの生活っぷりを披露して くれてたりします。この辺深読みすると 「ガメラ3」の後日の世界なのかもとか

 そして、怪獣のボスさえ倒せば残りの怪獣は全滅するという 酋長怪獣ジェロニモン方式を知った人々は、米軍の生き残り部隊と組んで 怪獣のボスの根城、壊滅し廃墟と化したロンドン市街へ…。
 実は怪獣好きとしてはオイシいシチュエーションの山のような映画 でもあるんですが、実際怪獣を倒す手段が「生き残った人々の英知」 でなく、実はど根性とヤケクソの特攻精神だったりするあたり、 なんか腹の奥は熱くなるけど感動にはほど遠い映画というか…まあ フルCGによる怪獣描写ももはや見慣れてしまったので、あんまり 新鮮な画像的感動を得られなかったというのがあるんですけど。

 あ、この映画の感動ポイントとしては、もはや文明も失われ、 怪獣跋扈する地球に生きる子供達に希望を与えるのは ジェダイの教えだったのだなあと(本編参照/含笑)。


「えびボクサー」

「これが映画秘宝でそこそことりあげられていたえび映画か。どれ見てみる かね…わくわく…ん?…はぁぁ(溜め息)。あー、なんかどーでもえーわ。 WOWOWあたりで放送されるの待ってから見りゃよかったよ。こんなんに レンタル料金払いたかなかったよなー。あー、店に返しに行くのも かったりー。うわ表ぇ雪降ってるよ雪。でもこんなんに延滞料金なんか 絶対払いたかねーしよー、あーちくしょー。あー誰か代わりに店に返しに 行ってくれねーかなー、こんなんにわざわざ労力なんか一切使いたくねー ってんだよな…」

 見終わってこういう気分にさせられる映画と遭遇した時ほど 「悲しいときー」はないです。「えびがボクサー」ってだけのワンアイデア 以上のモノがなんにもない映画ですハイ。


「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」

 そういうことでテレビ放映枠(2004年2月7日)で見たのですが、 元より原作の「指輪物語」をさっぱり読んだことがなかったというのもあって、 なんかなー…人が言うほど感動できんかったというのが正直なところ。 まあ模型作る傍ら横目で見ていたという ながら鑑賞だったので、長い映画にじっくり本腰入れずに 臨んだ分思い入れが薄かったのかも。

 ただ、サブタイトルでもある「旅の仲間」達が妙に紳士的すぎたのも 思い入れ薄な要因のひとつか? 主人公のフロドからしてキャラ薄い 奴なんだけど、ホビットだのエルフだのドワーフだのが徒党を組んでいて、 目的はひとつながらもそれぞれの思惑の違いから、葛藤があって対立が あって泣いて笑って喧嘩して憎いよこのーど根性! って熱くも 爽快なドラマをちょっと期待してたんですよ。メンバーの中に 役立たずなチビっ子二人といかにも裏切りそうな奴がひとりいて、 不安な方向にドラマが向いてて 見てて楽しくねえんだもん

 クリストファー・リーはやはり怖さと精悍さを併せ持った悪役が よく似合うとか、イイ顔担当のドワーフの声が内海賢二のマッチョ声 で非常に心強いとか、「行け、若者よ!」と絶叫して散っていく ガンダルフの最期に不覚にも涙ぐみそうになったとかやっぱり 見ていてうむ、と頷く部分は 伊達に尺が長いだけに結構多々。でもまあ一番の男泣き シーンは、ついに異種族連合を抜けてひとり滅びの山へ 「こっから先は俺ひとりでケジメ付けに行くんじゃ」と決死の 殴り込みに向かう健さんもといフロド、その後を「兄貴ィ、ワシも、 ワシもついていきますぅぅぅっ!」と涙ながらに追い、フロド兄貴に その腕をがっしと掴まれる舎弟サム…。このシチュエーションを ラストに持ってきただけで偉い! 「二つの塔」はそのうちレンタルで 借りてくるです。
 以下、世界中の真面目な「指輪物語」ファンの方にしばき倒される 妄想。さすがに文字反転してありますので、ここまでの感想で怒った方は 読まないでください。

 少なくとも「旅の仲間」だけ見ている限り 実質的な主役てーかヒーロー役はアラゴルンなんだし、ここでフロド を性転換させて萌えキャラ化させれば…たちまち日本のRPGファン に大支持される「ロード・オブ・ザ・リング」のできあがり (なんかひたすらすんまそん)


「ターミネーター3」

 さてこれまた俗っぽい映画ですが、50過ぎてもあの筋肉を相変わらず 維持しているシュワルツェネッガーには素直に驚嘆だし、ストーリー 面でもどんでん返しとシニカルさの折り混じったラストは、 確かに「ターミネーター」というシリーズの締めくくりとしては 正しいのかも。

 ここから悪口。 大ヒット作となった「2」の続きというのもあって、引き継いだ スタッフがいかに「2」の続きに恥じない物をという意図は判らない でもないけど、それにしたって 全編「2」のセルフパロディーってのは、「3」を楽しみに してた人なめてない?
 あと、「2」で父親的存在であるロボットとの熱い友情と 悲しい別離を経た少年ジョン・コナーが、ヤク中のホームレスとして 成長してるのも、「2」に少なからず感動した観客としては えれー裏切られた気分なんですが。


「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲」

 今年(2004年)になってから見た映画の中で、現段階ダントツのベスト 映画!
 生まれも育ちも地元はニュージャージー。今日も今日とてコンビニの 前にタムロって中学生にハッパを売ってる独身ダメ人間売人コンビジェイ& サイレント・ボブ。しかし人生の転機とは得てして訪れる物で、 「新造人間キャシャーン」や「忍者ハットリくん」も映画化される 昨今の漫画の映画化ブームに乗っかり、なんと二人をモデルにして出版 されてた漫画が映画化されることに! ところが漫画の作者が権利を 売っていたため、二人にはモデルとしての肖像権分の金が一切入らない。 しかも「ダメ映画.COM」なる映画感想掲示板では、 マグノリア・ファンなる人物を筆頭に「ジェイ&サイレント・ボブ」の 映画がメタクソにコキおろされていた…!

 金が入らない上にネットに悪口カキコするなんて 許せーーーんっ(怒怒怒ーーーっ)!! 全員まとめて復讐してやるぜ!

 パソコン持ってる映画ヲタすべての感情移入が菊門直撃ストレートに ディープスロートされる瞬間! かくして掲示板への悪口カキコを ストップさせるため、まずはハリウッドへ殴り込んで映画製作を中止 させてやる! 移動手段はアメリカ横断ヒッチハイクの旅、武器は バカのひとつ覚えの「オカマ野郎!」「×ァック!」の 悪口マシンガンだぜ!(あたま悪ぅ)

 人間が何かを成し遂げるための最大の原動力が「怒り」というなら、 主人公二人の「正しい怒り」を、生ケツ全開と赤塚先生かくやのオカマ ギャグで(もう下品なぐらい下品にくだらなく)描ききった大傑作です。 いやあ、たぶん下ネタだのくだらないギャグだのに欠伸や嫌悪感を 憶える人にはただのダメダメ30台コンビ主役の弥次喜多ロードムービー にしか見えませんが、同じく股旅物映画として 「ロード・オブ・ザ・リング」より確実に面白いです(笑)。
 前述の通り、全編ハジケまくったくだらなーギャグの連発なので 観客を選んでしまう内容ではありますが、キャッ×アイみたいな 美女怪盗チームに唆されてサル盗む羽目になったり、テロリストと 勘違いされて「逃亡者」みたいにダムの壁面に追いつめられたりと、 そうこうしている うちについにハリウッドへ到着。果たしてダメダメ30台コンビは 自分たちに肖像権を支払わないけしからん映画の制作を阻止できるか?  二人の前に立ちはだかるのは「マーク・ハミルだよ! 拍手(本編 画像テロップまんま)」。そして、追跡の旅路の果てついに二人の前に 姿を現すマグノリア・ファンの正体とは…!?

 映画史上最大の痛快にしてスペクタクルなクライマックスが待ってる ! とりあえず下ネタコメディーにある程度耐性があってネットに 映画の感想(悪口)カキコするのが大好きな人、速攻でレンタル屋に 借りに行こう! いやー、少なくとも自分にとってはバカ面白かった です(万歳!)



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