映画えっちほー5


「猿飛佐助」
「太陽を盗んだ男」
「キル・ビル Vol.1」
「青春の殺人者」
「拳銃無頼帳 抜き撃ちの竜」
「燃えよドラゴン」
「サンダーバード6号」
「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」
「やればやれるぜ全員集合!!」
「いい湯だな全員集合!!」


「猿飛佐助」(55年、監督/井上梅次)

 故フランキー堺全盛期の主演映画です。幼馴染みの三好清海入道と共に 村一番のプレイボーイとして悪さの限りを尽くした佐助が、愛しの白菊姫 の為に獅子奮迅、戸隠白雲斎の元で甲賀流忍術の極意を学び、大阪城の 絵図面の秘密を巡って大盗賊石川五右衛門との忍術大合戦!
 主題歌「忍術マンボ」が冴え渡る、 おもしろ楽しい忍者ミュージカル です。いやあ、さすが往年のボードビリアン、フランキー堺。 ギャグのセンスはさすがにドリフ並みながら、台詞の掛け合いのテンポが 非常に気持ちよく、もう50年近く前の映画ということも忘れて楽しく 楽しく見入ってしまったです。

 ちょっと愚考すれば、2003年現在、この頃のフランキー堺のポジション にいる芸能人と言えば、SMAPの香取慎吾あたりか。来年には 「忍者ハットリ君」 の主演が決まっている香取慎吾だけど、いやマジ、 こっちのほうを香取主演でリメイクしてもいいかも。「RED SHADOW  赤影」だのたけし版「座頭市」だのとかより、なんかこの映画のほうに、 時代劇映画復権のヒントを見てしまった気もするです。ハイ 見てしまった気がしただけ(含笑)。

 壮絶な吉本新喜劇風忍術合戦の末に絵図面の半分は石川五右衛門に 奪われ、愛しの白菊姫にはフラれ、ヤケクソで佐助が真田十勇士の一員に なるところでこの映画はクロージングでしたが、うおおっ、五右衛門との 決戦や絵図面の争奪戦も含めて、 すっげー続き見てー!


「太陽を盗んだ男」

 ひとりわびしく目的もなく、家に帰っての楽しみはウルトラマンレオの 再放送見ながら東海村の原発襲撃計画立てるのと猫いぢめぐらいしかない、 ダラダラ虚しい物理の先生稼業の「 ジュリィィィっ(沢田研二)」。そんな冴えない「 ジュリィィィっ(身悶えしながら)」が、基地外のじいさんの バスジャックと遭遇したことからトラック降りて刑事になった 菅原文太兄ィと出逢い、兄ィの男汁溢れまくりの侠気に惚れ込んだ ジュリーは「 俺の貞操を捧げられるのは兄ィしかいないぜ」と遂に 東海村襲撃! 部屋でコツコツ奪ったプルトニウムで 原爆作り、兄ィの舎弟となるべくストーキング行為開始だ!

「ナイター中継を試合終了まで放送させろ!」、 「一緒に日立のビーバーエアコン買おう!」、 「ローリングストーンズを武道館に呼べ!」、「とりあえなんかこー 5億円ばかりよこせや!」と原爆片手に無茶要求! その要求を 呑むべく奔走する菅原文太兄ィ。刑事になる前はデコトラを愛車に、 日本全国津々浦々、美女にケンカにトルコ風呂、 オシッコウンコの下ネタも駆使し、梅宮辰夫や千葉真一とも ガチンコで勝負してきた兄ィだ、たかが細面のジュリーの相手ぐらい 屁でもないぞ。その兄ィの侠気溢れる姿に、「 ああ、やっぱりこの世界で俺の言葉に耳を傾けて くれるのは兄ィだけだったんだ」。学校の校庭でターザンごっこ しながら大喜びのジュリー。そうだ、この世界に自分は ひとりぼっちなんかじゃないぞ! 愉快犯的に協力する池上希実子 だってついてるぞ! いやあ、是非とも ネット仲間のゴスロリ少女と組んで家族殺害計画したどっかのバカ学生 (不謹慎なので文字反転)に見せてあげたいです。

 だけど、夢の時間は終わる。兄ィに一方的な愛情を寄せ、 共にくだらないはずの現実と戦うことを夢見るジュリーに 対し、文太兄ィはあくまで現実の世界を生きていく人間なのだ。 「夢」とは、「逃避」という言葉が文字を変えただけということを知っている 人間なのだ。
 そのギャップに気付いた時、初めて、ただの犯罪者として追いつめられる 自分自身の様を目の当たりにするジュリー。

 そして、兄ィと真正面から対峙した時…兄ィの、糾弾の絶叫に、ジュリーは 自分の見果てぬ夢がどれだけ滑稽な物だったのかということ。自身の 美しき協力者としての池上希実子の死が、ただの愚かな女の自業自得に 過ぎなかったことを知ってしまう。
 他者の怒りが自分自身に向けられる…他人から殺意を向けられ、 殺されかけ、初めて憶える「死」への恐怖。もはや否定することは出来ない。 それは自分自身が、子供じみた …愚かな夢にしがみついていたことを認めてしまった瞬間なのだ。

「お前が殺したいのは、お前自身だぁぁぁっっっ!」


「キル・ビル Vol.1」

 ハリウッドの巨匠(らしい)クエンティン・タランティーノ監督 最新作(2003年11月現在)ですが、ハッキリ言って この人の映画見たことありませんでした。しかしなんだ、 自分が唯一読んでる映画雑誌「映画秘宝」でのこの盛り上がりぶりは!?  「映画秘宝」読まなかったら自分のHPにこんなバカなコンテンツ 作らなかった人間としては、もう見に行くしかありません。

「秘宝」の特集のおかげで、既に映画のストーリーは完全に頭に インプットされています。暗殺組織の一員としてその道を極めた最強の 女暗殺者ザ・ブライド(ユマ・サーマン)が、妊娠を機にカタギの男と 結婚して足を洗おうとしたまさにその結婚式の当日、組織のボス、ビル (顔出ないけどデビッド・キャラダイン)自ら率いる暗殺者軍団に 報復の憂き目に逢ってしまう…。夫を、孕んだ我が子をも殺され、 自らもビルに頭を撃たれ昏睡状態に陥るザ・ブライド。そして4年間の 眠りから目覚めたザ・ブライドは、ビルとその一味に復讐を誓い、 女ひとりの怨みと憎しみ、 果てしなきリベンジ・ロードは始まる…。かつての仇たる暗殺者を前に、 その怒りが頂点に達した時、ザ・ブライドの脳裏には、 エッチな事件再現フィルムでお馴染み 「ウイークエンダー」のテーマ曲(ホントは「鬼警部 アイアンサイド」)が流れ、その身体は故ブルース・リーの魂が憑依 したかの戦闘能力を発揮するのだ!

 さて、鑑賞したと言っても所詮地方の劇場、観客はわっしの他に 長髪猫背の映画青年っぽい兄ちゃんがひとり。そして、こういう映画を 見る時一番入ってきて欲しくない客…ポップコーンと飲み物を両手にした 若いねーちゃんの二人連れだ! うわ 案の定、映画始まると同時、冒頭、深作欣二監督への 追悼文のバックに流れるナンシー・シナトラの「Bang Bang」の しっとりとしたメロディーに耳を傾ける様子もなく 前の座席に足乗っけてダベり始めやがった! 観客が4人しか いないたぁいえ、自分の部屋でビデオ見る感覚で劇場で映画見る奴は 老若男女問わず許さん! しかし流石の奴等も、ザ・ブライドが 第一の敵、ヴァニータ・グリーンを民家での激しい家庭内暴力バトルの末、 幼い娘の目前で刺殺、そのバックに流れる、千葉真一による武士道の 覚悟を詠った朗読を前に言葉を失ってやがる (含笑)。

 そしてザ・ブライドは次なる敵、東京のヤクザ界を束ねる女侠客 オーレン・イシイ(ルーシー・リュー) を求めて日本へ。挿入される、プロダクションI.Gによる、イシイの 凄惨な過去を描いた惨殺アニメ(このアニメパートの作画レベルと残虐描写 も屈指の出来なので、これだけで見に来てもいいかも)を経て、冒頭まで ダベっていた二人連れのお姉ちゃん客が静かになっているのに満足満足。 お姉ちゃん方よ、あんたたちは「チャーリーズ・エンジェル」とかの オッサレー系ガールズアクション路線を期待して劇場まで来たんだろう けど、残念ながらこの映画はあんたらのために作られた映画じゃないんだよ。 もちろん映画にやたら文化的価値を求めようとする評論家(誰とは 言わないけどおすぎとか)なんかに見せるためでもない。

 これは、休日の昼下がりにレンタル屋のうらびれた旧作コーナーを、 バカでカルトなB級〜Z級アホアホ映画を漁ることを楽しみにする、 本当に面白い映画を求めるわっしらボンクラ映画ファンのために、 ビデオ屋の店員出身の元祖ボンクラ(褒め言葉) タランティーノが、秘めたるボンクラ魂をフィルムに叩きつけて 完成させた、 地上最強のボンクラ・ブラッド・エンタティメント 映画なんだ! わっしが断言するよ!

 まずは沖縄に上陸したザ・ブライドは千葉真一と息子の大葉健二 (ギャバン隊長こと大葉の「ハゲじゃない、剃ってるだけ」の台詞に ニヤリ)から、千葉ちゃん自らが鍛え上げた日本刀を預かりついに 東京へ。オーレンの牙城、謎の巨大料亭青葉屋にて、オーレン率いる バカ十代メンバーで構成された雑兵軍団、クレイジー88との 壮絶なブレードバトル! ザ・ブライドの剣技の前に、容赦なく斬って 撥ねられるバカ十代共の手、足、生首! 映画史史上最大の血飛沫容量 東京ドーム10杯分(推定)! 「日本刀の刃先って切断力と引き替えに 脆いから、実際には10人と切れず刃こぼれして駄目になる」なんて 理屈は不要だ。宇宙刑事ギャバンの父千葉ちゃんが鍛えた銘刀だぞ、 実はレーザーブレードに決まってるだろ!  その証拠にクレイジー88のバカ十代を、ギャバンダイナミックで 脳天から真っ二つだ!(本当だ!)

 そして、白雪降り積もる庭園にて、遂に迎えるオーレンとの決戦の時 …。バックに流れるは、梶芽衣子歌う「修羅の花」! ああっ、またも 自分の人生のメモリーに美しい映像が刻まれてしまった !
 二部作の第一部先行公開という変則的な映画ながら、いやあ、エンド・ クレジットが流れる頃にはもう(でかい)腹の奥底から満足感に 満たされてしまったです。そして、エンド・クレジットに、これまた 流れる梶芽衣子渾身の名曲「怨み節」 …! もうこれだけで タランティーノのファンになってしまったですよ! そうとも、梶芽衣子が 好きな奴に悪い奴はいないぞ! 「パルプ・フィクション」もそのうち 借りて見るからな!

 んでもって、例の二人連れのお姉ちゃん客、よりによって、「怨み節」 が流れるエンド・クレジットでわっしの前を横切って出口に向かって いきやがって…なんか腹立ったのでお姉ちゃんが前を通る時前の座席を 蹴っ飛ばしてやったというか…ああっ、またも 自分の人生のメモリーに恥ずかしい記憶が刻まれてしまった!  うう…なんて小さい男の器。お姉ちゃん方ごめんね。同じ劇場で やってる釈由美子の「スカイハイ」でも見て機嫌直してね。
 ともあれこの映画のサントラ盤CDは購入決定というか、あっ、 そういや以前蘭亭カントクがくれたカセットテープの中に「怨み節」 入ってたじゃねえか! ぐわあっ、あのテープどこだ!?


「青春の殺人者」

 WOWOWにて鑑賞。「太陽を盗んだ男」の長谷川和彦監督のデビュー作です。 主演は「傷だらけの天使」が終わったあたりの、まだ青春スターバリバリ (ぷっ)の水谷豊。さて内容は、水谷豊の彼女を巡って、その関係を 親に注意されてしまった水谷豊が、衝動的に両親を殺害してしまう話…。

 時節柄(2003年11月)、この映画の放送 プログラムをもちろん事件発生前に組んだであろうWOWOWの担当者は 相当頭を抱えたと思いますが(苦笑)、まあこの映画と似たような事件が 起きてしまった時期だからこそ、あえて プログラムを変更せず放映した心意気には拍手ですな(ひょっとしたら そんな事件気にしてないだけかも知れんが)。

 正直、「太陽を〜」の監督の作品ということで変な期待を抱いて 鑑賞したっていうのはあるんですが、この映画にまず「太陽を〜」の 痛快さとか奇天烈さとか益荒男ぶりとかは一切無いです。いやテーマ 的にあられても困るんですが。
 まあ観客本人の実生活として、イイ年こいて親元で同居しているような 人間からすれば当然水谷豊に(そして、実際の事件の犯人のバカ学生に) 感情移入は出来ないし、息子の亭主殺しを垣間見てしまった母親 市原悦子が、正気を失って延々とした長回しシーンの果てに 水谷を精神的に追いつめ、結果としてまた 殺害されるシーンの後味の悪さは嫌なぐらいトラウマもので…。

 映画後半、結果的に親子の諍いの原因となった、その彼女との彷徨の中、 水谷が手始めに親父を刺殺してしまうに至る衝動、その理由が実は 決して単純な親への反撥でなかったことが明らかになるにつれ…ここで 観客の水谷に対する視線が逆転してしまうあたりの演出。「太陽を〜」 でも見られた、観客の中で 主人公の価値を反転させてしまうという登場人物の見せ方が、 デビュー作から既に築かれていたあたり長谷川和彦監督、やはり 邦画界の希有な才能のひとりであります。

「ひとをころす」ことの簡単さと、その悔恨の念を執拗に描いた果てに、 水谷豊は大罪を犯してまで守ろうとした彼女をも 捨てて衝動的に逃げ出してしまう。ここでこの映画はクロージングを迎えて しまいますが…最後まで見ていて、リアルに血まみれの凶器を手にした 感触が残ってしまった。そんな怖さと共に、「青春の殺人者」という 題名の切なさも残る、そういう映画であります。


「拳銃無頼帳 抜き撃ちの竜」

 日活アクション路線伝説の男、赤木圭一郎主演のシリーズ第一作です。 いえ映画は好きだけど日活アクション路線にそんなに詳しい訳じゃない という人間からすれば、日活アクションって「義理と人情の無頼の主人公が、 惚れた 浅丘ルリ子のためにひとり悪党連中に牙を剥き、組織の用心棒 宍戸錠 と友情したり対決したりする」というストーリーが知識として あるんですが、実際ヒネリもなくそのまんま だと、何となく笑ってしまうというか嬉しくもなるというか(笑)。

 しかし物語のパターンが黄金の不文律となっているだけに娯楽映画として は飽きずに楽しく、宍戸の「俺の顔に色を付けたのはお前で三人目だ。 前の二人は墓場でおねんねさ」なんて台詞回しのセンスは、本心から 見ていて嬉しくなる(喝采)。
 この日活アクションってのがいかに後世に大きな影響を与えたかと いうのが見ていて実に理解できるんですが、別コンテンツでやってる 自前の創作(愚作)とかも、案外日活アクションの血をどこかで 引いてるかもとか、おこがましくも思ってしまったり(思ってしまった だけ)。


「燃えよドラゴン」

 2004年最初に見た映画。 とにかくもう、世界中の人間が認めるところであるけど 世界最強の映画。カンフーという単語は知らなくても ブルース・リーという代名詞は誰でも知ってる という意味で、もはや今後これを越える武闘アクション映画は永遠に 生まれ得ないでしょう。
 もちろん、アクション的には昨今のCGやワイヤーワークの比でないことは 明らかなんだけど、いくらキアヌ・リーブスとかが映像効果による アクション技を見せようと、多くの(特に30代ぐらいの)人間の胸に 根付いた、カンフー=ブルース・リーという図式とオモチャ屋で 買った安ヌンチャクを振り回した思い出ある限り、「キアヌはリー先生 より強い」と言われることは絶対あり得ません。
 とにかくもう…TUTAYAでDVDが980円で売られていたのがあまりに 嬉しすぎて、先日衛星放送で見たばかりだったのにもかかわらずまた 日を置かずに見てしまいましたが、やはり何度見てもわくわくする映画 ってのは確実に存在しますね。
 タランティーノはリー先生が存命なら「絶対自分の映画に出てもらったよ !」とコメントしていますが、それは全世界すべての人間の叶わぬ 願いなんですな…(ちょっとせつない)。


「サンダーバード6号」

 国際救助隊非情のスパイアクション編。スーパーメカ・サンダーバードを 使って人々の命を守る国際救助隊と言えど、自分らの秘密を狙うスパイ なんかにゃ容赦はしねえ。もうこの映画での国際救助隊は撃って撃って 撃ちまくる! なんとも血みどろバイオレンスの世界が嬉し楽しい 映画であります。
 でも、この映画の真の主役は誰がなんと言おうとブレインズでしょう。 28日もかけてフルスクラッチしたプレゼン用モデルを上司のダメ出し のひと言でブッ壊す羽目になる…。リーマンの悲哀だけでなく趣味 としての造形まで否定される二重の悲しさに、嗚呼、自分は同情の 涙を禁じ得ません…(号泣)。


「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」

 ミリタリー漫画、ガンダム漫画で有名な漫画家近藤和久氏による コミック版「ガメラ対バルゴン」立ち読んじゃった記念鑑賞(笑)。
 シリーズ中(平成シリーズ含めて)唯一子供の出ない作品というだけ あって、やたら異色作扱いされることも多い本作ですが、相手怪獣に 一筋縄で勝てない展開とか東宝怪獣映画と違って敵にしっかり トドメを刺すあたりとか、後のシリーズの方向を決定付けたという 意味では外せない作品かも。問題なのは、シリーズはすぐ次作の 「ガメラ対ギャオス」で完璧に完成しちゃって(苦笑)、金子修介がメガホン 取るまでは、自分にとっては間の5作品がほとんど惰性扱いだと (笑/間の5作品のどれかのファンの方、失礼)。
 今作品で舞台が大阪という以外にも、やはり見て思うのはガメラってのは つくづく関西の魂がこもった怪獣ってこと。ある意味ゴジラ映画以上に 伝統芸の世界、ってのが昭和ガメラシリーズにはあるような気もするし (笑)。あと、実は律儀なぐらい 意外と東京に来ない怪獣でもあるんですな(全部で3作品…「ガメラ対 バイラス」も含めれば4作品になるか)。東京進出で ひと山当てるバクチ人生より、堅実にふるさと関西発から全国区での 人気を目指す。がんばれガメラ! 「探偵ナイトスクープ」の三代目 局長に内定だ(すんまそん)!

 ところでこの映画、前述の通り子供が出てこないというのもあって、 ガメラのフォルムの凶暴さがえらく格好いい。空気的にも一番平成シリーズ 3作に近いのかも知れないです。


「やればやれるぜ全員集合!!」
「いい湯だな全員集合!!」

 WOWOWでのお正月ドリフ映画特集にて鑑賞。 日本人のお正月といえばドリフに決まってます。

「やればやれるぜ全員集合!!」
 うだつの上がらない村の鼻つまみ者ドリフが賽銭ドロした金で上京、 花の東京でひと山当ててやるぜ! しかし現実は厳しく、やはり都会の 底辺で夢と虚勢だけはでっかく生活は貧しく慎ましく働くドリフ… ここ、映画を見に来たお父さんが泣くところな!
 明日の一番星を夢見て働く労働者の敵は、もちろん労働の対価を搾取する ブルジョワ社長だ。弁当屋のアイドルたる愛しのあの子は 借金のカタに玉の輿を強要され、新会社設立を目指してドリフが必死に 額に汗して稼いだ土地代の頭金は詐欺で奪われる…。 ここ、映画を見に来たお父さんが怒るところ!
 労働者の怒りが爆発だ! 行け、ドリフ! 結婚式場から社長を 拉致、船荷物に閉じ込めて、船便で島流しだ! 映画を見に 来たお父さん拍手喝采!
 親分格のいかりや長介に頭が上がらない、まだまだ若手の加藤茶の 掛け合いも楽しく、いやあ、まさに正月から見ていて幸せな気分になれる 映画でありました。昨年(2003年)の年末スペシャルの撮影で、メンバー が2年振りぐらいに全員揃ったそうですが、たまたま居合わせた ダウンタウンの浜田が「わ、5人おる!」と喜んだという逸話も 頷けますです。なんていうかなあ、日本人に笑いだけでなくて、「幸福」 をもたらせる希有な存在として、ドリフのメンバーにはまだまだひとりも 欠けることなく頑張ってもらいたいですな。

「いい湯だな全員集合!!」
 五人組の銀行強盗として誤認逮捕されてしまったドリフが、警察が失態を 隠すために仕組んだ脱獄シナリオにまんまと乗せられ脱獄、こうなったら ヤケクソでハードボイルドな悪党を目指そうと、あれよあれよと 用心棒として洞爺湖温泉へ。そこは、高校のコンパニオン部(うわ!) による若手芸者と老舗芸者の組合が、血で血を洗う抗争の真っ直中だった …。
 すんまそん正直おもろなかった。実は家が貧乏な子で構成された 若手芸者を擁する温泉旅館の側についたドリフが、彼女たちのために 奮闘するのかと思いきや、ドリフの働きに関係なくあっさり両陣営が手打ち。 5人共通のスネの傷から旅館の女将さんの生き別れの子供五兄弟 疑惑が浮上、「瞼の母」な人情劇に行くかと思いきや実は本当の息子達は 冒頭の五人組銀行強盗の真犯人…。
 狙ったギャグのつもりなのかも知れないけど、いちいち展開を外すのが なんだか脚本の下手さにも思えてきて全然笑えねえ。ドリフに対抗する 田舎ヤクザの左とん平の健闘が光ってるぐらいか。



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