映画えっちほー2


「血を吸う宇宙」
「ドラゴンファイター 炎獣降臨」
「クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦」
「超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説」/第11話「記憶」
「スパイダー・パニック」
「007 ドクター・ノオ」
「007 ゴールドフィンガー」
「少林サッカー」
「ゴジラ×メカゴジラ」
「ほしのこえ」


「血を吸う宇宙」

 一部でカルト邦画として話題の映画なのですが、最高です。 近年では「忍風戦隊ハリケンジャー」のおかげで子供にも顔が有名になった 三輪ひとみは、本当にこういう映画が似合う(笑)。彼女から諏訪太朗への 変身は最高であります(爆笑)。阿部寛の代表作は、間違いなく「ゴジラ 2000ミレニアム」とこの映画です。

 しかし、何より気になるのがこの映画のサントラ盤が存在するかと いうこと。本当、この映画は音楽が気になって気になって仕方なくなります から。いやあ、満腹満腹。久々にレンタルで映画借りて満点級の映画 見れましたです(喜)。


「ドラゴンファイター 炎獣降臨」

 非常に仰々しいタイトルです。
 中世の時代、暴れまくったドラゴン(本当に、羽根生えてて火ィ吹く奴)の 遺伝子を現代の基地外科学者が地下の秘密研究所でクローン再生。しかし 事故で暴走したドラゴンが、基地の中で火ィ吹いて大暴れをはじめ…。
 登場人物を絞って(本当に10人もいない)、ほぼすべてのシーンを セット内で安く撮って、主役のドラゴンだけCGでバッサバサ暴れまわる という、間違いなくロジャー・コーマンの息がかかっている映画(苦笑)。 全体的な安っぽい作りが心地よい眠気を誘い、ラストのF16対ドラゴンの 空中戦まで、欠伸交じりにゆったり見れました。いいですねえ、この 能や歌舞伎のようなアメリカB級モンスター・ムービーの伝統にのっとった 出来栄え。こういう低予算で作れる単純娯楽映像、 伝統的なバカB級映画は、バカ映画ファンの休日の昼下がりの友として 今後も生き延びていってほしいもんです。
 あ、ラストで予備研究室から、もう一匹が生まれるところでバーン! と 終わるのはこれまた伝統芸です(笑)。


「クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶアッパレ!  戦国大合戦」

 アニメ映画として、2002年幾つかの賞を受賞したというその出来に ついて(時代考証、キャラ描写など含めて)秀逸な出来栄えなのは 認めるとして、前作「オトナ帝国の逆襲」を思えば、実は「クレヨン しんちゃん」映画としてはいまいちハジけてない映画というのもまた 認めざるを得ない事実…。

 物語上、全面的にしんちゃんギャグが ほとんど介入できる余地がないというのもあって、敵の大将の討ち取りで 無理矢理出番ができた、そんな印象も拭えない。ただ、腐れSF好き としては、オーラス、この時代でのしんちゃんの友人となる又兵衛の 台詞に、しんちゃん一家が時を越えた理由が「歴史の修復者」であると 示唆される部分にまた唸る。

 そして、しんちゃんは友人の、あまりに、あまりに理不尽な死を目前に する。ほとんど何の理由もなく、死ななければならない必然もなく又兵衛は 死ぬ。本来の観客の年齢層を思えば、実はそれは描写上タブーな場面でも ある。だが、この理不尽なる「友人との別れ」が、この映画のすべてが 集約されている部分だ。ここでしんちゃんに託されるのは時代の残酷さか、 命の儚さか。そしてしんちゃんは泣く。友人の、果たされなかった淡い 恋心を知るからこそしんちゃんは涙を流すのだ。

 正直、バラエティーアニメとしての映画「クレヨンしんちゃん」と しては決して評価し得ない映画である。だが、ひとりの子供が体験する 「別れ」と「前進」が描かれたことで、この映画は本当に「いい映画」 として完成しているのだろう。
(ちなみに、本音としては前作「モーレツ! オトナ帝国の逆襲」の ほうがベスト)


TVアニメ
「超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説」
第11話「記憶」

 映画じゃなくてTVアニメの話なんだけど、ちょっと熱く語らせて ください。番組初期の展開は、地球に散らばった新種トランスフォーマー、 マイクロンが収められたパネルの争奪戦が主軸になるんだけれど、 今回のマイクロンパネルの在り処は海底に沈んだ遺跡都市。そして主人公 である子供たち三人とサイバトロンを導くのは、はるかな過去から未来へ とメッセージを送った、いまはもう立体映像の中の記録でしかない幻影の 少女…。

 決して目新しいガジェットでもないし実際のところはマイクロンの 三体合体剣、スターセイバーのプレゼンテーション的な話ではあるが (過去の文明においてマイクロンを “命を持った金属・オリハルコン”と呼ばせるセンスはかなり 秀逸)、ぶっちゃけタカラの玩具のキャラクターが、はるかな過去において 人類の文明と密接な関わりを持っていたという展開は、「ミクロマン」 の商品展開でも見られた、まさに タカラキャラクターの真骨頂でちょっと感嘆(嬉笑)。

 過去、少女の文明はマイクロンを欲望のままに制御しようとして滅びる。 そして子供たち三人の前に現れる少女は、マイクロンに触れることの 禁忌を訴える「警告の記録」でしかなく、その少女を求めてこの遺跡都市 まで来た子供たちの言葉も、想いも、温もりも決して触れ得ることは ない…。
 そして、その少女の姿(記録)を誰かが目の当たりにするとき、それは の誰かがマイクロンを持ち去ろうとする、まさにその時なのだ。争奪戦の 末にデストロンに遺跡のマイクロンパネルは奪われ、その禁忌は侵される。 そして再び深い海底に沈み始める遺跡都市。都市と共に沈んでいく (消えていく)少女…。それでも、「同じ過ちを、繰り返さないで」。 この想いを訴え続けた少女の姿は、子供たちにとっては幻ではない、 ずっと、儚い願いを訴えつづけてきた、尊き生ける意思そのものなのだ。 だからこそ、沈みゆく彼女に対する悲しみは決して、テープやレコード盤 が水底に沈んでいく程度のことではない、本当の別れである。

「想いは生き続けてるんだ、だから、これで終わりじゃない!」 主人公、ラッドのこの言葉は、生き続けてきた意思を、想いを裏切らない という過去への誓い、未来への意思なのだ。「トランスフォーマー」も シリーズが始まってそろそろ20年。「カーロボット」で「永遠を生きる 命に“未来”という概念はあるのか?」というSF的問いを投げかけ、 そして「はるかな過去からのTFと地球人の関わり」という ロマンティックな匂いを発してきた「マイクロン伝説」は如何なるテーマを 示してくれるのか? オモチャ好きとしてもアニメのTF好きとしても 興味は尽きないのです(←期待)。


「スパイダー・パニック」

 これまたなんとも50年代モンスター・ムービーの完璧なパロディー 映画。そこらのひと束いくらのハリウッド大作よりは、退屈せずに 見れました。特筆する場面はクモとバイクのチェイスシーン。 同時にジャンプしたクモとバイクが、空中で交差する瞬間、ライダーが バイクから腰を浮かして両足でキック――! こんなアクション 仮面ライダー555だってできないぞ(笑)。この一瞬のシーンのための 映画ともいえます。


「007 ドクター・ノオ」

 世の「007」ファンの皆様ごめんなさい。やっぱり久々に見ても 「ドクター・ノオ」、シリーズ第1作という以外の価値はあんまりないです。 正直後のシリーズより金かかってないし、そもそも肝心のドクター・ノオの 基地に潜入してからずっとBGMなしの状態が続き、なにげに眠気を 誘われるのが…。


「007 ゴールドフィンガー」

 シリーズの面白さをその荒唐無稽さに求めるなら ば、「007は二度死ぬ」と並んで傑作です(「ムーンレイカー」はあまりに ギャグ漫画になりすぎてて…失笑)。イマイからプラモも 発売されていたアストンマーチンDB5も、歴代ボンドカーの中で最も その印象度が輝いております。ただQから渡されてから大破するまでの 時間は実は結構短かったりしますが。やっぱり悪役ゴールドフィンガーの 声を滝口順平氏の吹き替えで聞きたいというのがあるので、またそろそろ 地上波吹替版の放送を望みたいですな。たぶんシリーズ中、見ていて 自分的には一番面白い「007」です。


「少林サッカー」

 WOWOWでの放送により初見。時流からめっちゃ遅れてます。 いやあ…上映時とかDVD発売当時に見てたら、たぶんとてつもなく 狂っていたでしょうねえ(苦笑)。漫画的な映像効果を大真面目に最新の CG技術とかでやってるだけでなく、その根底にあるのはアジア人の魂の 叫びとも言える「虐げられし者たちの怒りの反逆!」テーマ。 これが日本や香港でヒットしなきゃ世の中間違ってますよ。
 なにはともあれ、「007 ゴールドフィンガー」と並んで 「映画とは観客が楽しめてナンボ」と、つくづく思ったです。


「ゴジラ×メカゴジラ」

 これは…病院から脱出しようとする少年の危機に機龍が飛来してくる シーンの演出ひとつとか、ゴジラ映画というよりはモロにロボットアニメ だな。尺は88分と短めだが、その短い尺の中でどれだけ見せ場を 詰め込むかという演出は成功していると思うです。正直怪獣映画としての ダイナミックさは前作「GMK大怪獣総攻撃」のほうが良かった気も。
 主演の釈由美子はいかにもアニメ世代のヒロイン像で、個人的には かなりかっこ良いです。暴走した機龍の、ヤクザの事務所が入ったビル だろうが避けずに突撃する男塾名物 直進行軍や良し。問題児ばかりを集めた愚連隊の中に、死神 呼ばわりされる新兵が入ってきて、戦いの中で仲間との絆を築き上げていく という往年の東宝戦記モノ映画の雰囲気もまた良し。 冒頭いきなり家を潰される柳沢慎吾や逃げ惑う避難民に対して車の中から 怒鳴る杉作J太郎や、ラストシーンで釈由美子の後ろを通り過ぎる 手塚昌明監督もまた良し(笑)。はい素直にヒートアップしながら 見れたです。
 でも1番良かったのは何と言ってもガイラ(笑)。


「ほしのこえ」

 書店販売のDVDブックにて鑑賞。 さて、既に本編見る前にイロイロ情報が出回っていたってのもあって、 ぶっちゃけると実はあんまり新鮮な感じで見ることが出来なかった。 時間の乖離というネタも、元腐れSF好きとしては(元、がつくのは最近 全然SF小説から離れてしまっているから)使い古されているネタだなって のがあるし。
 もちろん、この作品が個人で作られたというのには最大限の敬意を 覚えるし、新海誠監督の、技術云々よりもその映像センスには素直に 拍手です。

 さて、自分なんぞがこれ以上長々とこの作品に対して語ることは ないのですが、ただ監督本人による絵コンテの解説文に「僕が住んでいたのは 長野の山の中なんですが、学校が終わって帰る途中とか本当に夕陽が綺麗なん ですよ。光が明るくて、景色の輪郭がくっきりしていて…毎日本気で、俺は なんて綺麗な世界に住んでいるんだろうと思っていました」という一文が あります。

 こういう感性が、この作品のすべてという気もしますね。

(…ところで、実はこのDVDブックを入手するさい、以前さる御方に ものすごーいご迷惑をおかけしたことがあって…うわ思い出すだけで 恥かしい! 死のう!/大赤面

 

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