映画えっちほー1


「恐怖のワニ人間」
「恐怖の火星探検」
「惑星Xから来た男」
「深海の軍神」
「ゴジラの逆襲」
「怪獣大戦争」
「惑星大戦争」
「突入せよ! あさま山荘事件」
「仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL」
「タイムマシン」


「恐怖のワニ人間」(59年 米)

 その恐るべき体験から記憶障害を起こした看護婦の、 催眠療法から語られる恐怖の記憶…。
 新婚旅行中に消えた夫は何処に? 沼地の森に建つ洋館の秘密!  そして、怪しい科学者の危険な実験…!
 まるで東宝恐怖人間シリーズの1作のような、謎めく展開と緊張感溢れる 演出が実に圧巻。旧作品とはいえどかなり好感。これで、クライマックス、 遂に登場するワニ人間の造形が…(悲泣)。


「恐怖の火星探検」(58年 米)

 地球に帰還する火星探検船に忍び込んだ原始火星人対宇宙船クルーの 壮絶なサバイバルバトル!
 よくあるプロットながら、狭い円筒型ロケットの中で手榴弾10個を イッキ爆発させたりロケットランチャーの的にしたり、 狂った乗組員が「原子炉を開けて」放射能を直接被爆させても死なない ライダー怪人型火星人、ナイス。でもロケットから空気抜かれて、 窒息で死ぬって末路が、根性あるのかないのかよく判らないです。


「惑星Xから来た男」(51年 米)

 50年代侵略テーマ特撮映画の先駆けとして、名前は結構知られていた作品。 プロローグの展開は結構観客を引き付ける緊張感が溢れていて見事だが、 ショボい宇宙人やショボいUFO、村人5、6人アブダクトしてドカ させるだけのショボい侵略行為とかを見るにつけ、ジョージ・パルやイブ・ メルキオールといった才能の凄さを思い知ってしまうだけだったと。
 背中に背負った、自分の星の大気を詰めてた空気タンクのバルブ調整を 間違え窒息でぶっ倒れ、ファーストコンタクトした地球人に バルブ開けてもらって 助けてもらう侵略宇宙人…。コレの公開の2年後に「宇宙戦争」を作った ジョージ・パル、あんた本当に偉いよ! グレイトだよ!(泣)


「深海の軍神」

 WOWOWにて、未上映、未ビデオ化と、本邦初公開を謳い文句に放送された Z級深海の独裁者モノSF映画。
「英ハマープロの天本英世」こと ヴィンセント・プライス主演。なにが凄いかってこの映画、深海の独裁者が 築いた海底王国が、「海底軍艦」のムウ帝国そっくりというかフィルム まんまモロ流用(爆笑)! たぶん一番金かかってるのはプライスへの 出演料だな、きっと。
 安っぽいことこの上ない半魚人のデザインの緊張感の なさは、恐らく全世界の半魚人イチ。クライマックスの大崩壊シーンだけは 見ものか? 


「ゴジラの逆襲」(55年、東宝)

「どてらいゴジラ」です。とにかく劇中、 ゴジラの襲撃で工場を失いながらも再起を誓う社長のキャラクターに 代表されるように、本当にキャラクターたちの生き生きとした 逞しさが目立ちます。主人公 コンビとかつての航空隊仲間との友情とか、とにかく人情劇の部分に妙に 惹かれる…。
 特撮的には、冒頭の岩戸島でのゴジラ対アンギラスの第1ラウンド、 岩陰から覗くカットというのが変に臨場感あってまず引き込まれるというか、 そしていきなりクライマックスに飛んでF−86編隊対ゴジラの最終決戦!  …愚考すると、飛行機少年から始まったという円谷英二の特撮人生を 思えば、ひょっとしたら円谷英二が一番撮りたかったのはここかな とか思うのですが。もし後のゴジラ映画が「怪獣×怪獣」の対決路線に 行かなければ、もっとこうした「ゴジラ×人間の意地」という路線がもっと 前面に見られたかなとも(「ゴジラVSスペースゴジラ」の、柄本明× ゴジラの構図が妙に好き。)。


「怪獣大戦争」(65年・東宝)

 名曲「怪獣大戦争マーチ」が雄雄しく響き渡り、模型製作の士気を 高揚させてくれる熱い熱い映画…なんだけれど、実は意外と怪獣たちの 活躍シーンが印象薄い映画…。
 物語の本筋が、X星人の侵略計画と地球人の攻防戦にシフトが置かれている のと、怪獣側のキャスティングが前作「三大怪獣地球最大の決戦」とほぼ 変わらないせいか(ラドンの破壊シーンなんか旧作をまんま使ってるし)、 結局怪獣側のさしたる活躍が目立たないという印象もあります。ラスト のキングギドラ対ゴジラ・ラドンペアの激突もあっさりしたものだし。

 しかし…翌年の「南海の大決闘」と併せて、本当に水野久美はイイ女 だわな。三輪ひとみも彼女ぐらい、伝説のジャンルムービー・アクトレス として育ってほしいもんです。
(「怪獣大戦争」が好きな方、ごめんなさい)


「惑星大戦争」(77年・東宝)

 よくも悪くも「子供向け」というより「子供騙し」に徹してしまったかの 福田 純監督演出、主人公のクセして実は全然観客の感情移入を誘えない 無個性主役の森田健作、対照的に感情的な役柄なのに全然いいとこなしの 沖 雅也、完全にお色気担当なだけの浅野ゆう子と、うぅむ…映画的には えらくダメダメっぽいぞ(苦笑)。ただ、熟練の冴えというか中野昭慶 特撮による破壊シーンは圧巻で、特に金星基地、金星大魔艦の直上の崖が 戦闘機の特攻で崩れ落ちるシーンのスケール的な大きさが圧巻というか…。 宇宙戦艦轟天最後の武器、エーテル爆弾ミサイル(ドリルミサイル)の突撃 描写もよし! 素直に、中野特撮による壮絶な金星大バトル映像を楽しむ だけのための娯楽作と見ればこれもありか。オーラス、金星がめでたく 吹っ飛ぶ様も豪快でなかなか(爆笑)。


「突入せよ! あさま山荘事件」

 犯人側の視点を一切描写せず、ほぼ役所広司演じる 現場責任者の視点のみで語られるあさま山荘事件。 「プロジェクトX」でも取り上げられていたので、両者を見比べて みるのも良かろうかと。映画的な批評ができるほど批評眼はありませんが、 少なくとも133分間の間、眠気を誘われるシーンがないというのも 無駄がなく面白い映画の証明ですか。特撮ファン的には、こういう映画に 出ても腰が低い役の似合う螢雪次郎のおどおどした出番に「イヨッ!」と声を 掛けたくなる(笑)。もたいまさこがあれだけ婆さん(犯人の母親)役が 妙にハマってるのは何故だろうとか、出番が1分もない犯人役武田真治と 人質役篠原涼子の立場はとか、鉄球クレーン車の会社名消せよとか 妙なポイントばかりに視線が行くのが…ともかく素直に面白い映画で ありました。雪国の尋常じゃない寒さを描写した映画というのもまた楽しい ですとか(苦笑)。
 さあっ、みんなで役所広司の足に熱湯をかけてあげよう!


「仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL」 (02年・東映)

 TVとはまた違った視点で主人公、真司と優衣に比重が置かれた展開を 辿りますが、まあTV版メインライター、小林靖子氏のものとは違った、 脚本井上敏樹氏による「劇場版最終回」と思えば、ライター二人による 最終回の競作とも見れておもろいかなとか。

 ネタばらしギリギリのところを言えば、すべての真実にたどり着いた優衣の 最後の選択が…というのは個人的にはやや納得できないところ。「龍騎」 に子供番組的な定石をあてはめて物を語るのは勘違いもいいところ (そういう空気になってしまってるから仕方ないと)だけど、自分としては、 あの選択は良くないよ…こんな言葉は嫌でも使いたくなかったけど「子供 “も”見る映像」としては。
 できる限り情報を事前に遮断していたおかげで、仮面ライダー リュウガの正体にも また唸ったのですが、こんなにかっこいいキャラだと知ってたら玩具 も買ってたわなあ。浅倉、北岡の末路も「劇場版」という 枠の中では仕方なかったんだろうけど、これもなんか不完全燃焼。この映画 一番の話題だった加藤夏希は、いかにも井上敏樹の書くヒロインキャラで 存分に魅力的でありました。本当、加藤夏希はハタチすぎたらえらいいい女に なると(嬉)。

 キモはやっぱり、ラスの真司と蓮の会話ですかね…去年の夏休みでなく、 ちょうどTVでの最終回間際というこの時期に見たというのもあって、 やけにじっくり見入ってしまった…。「ガメラ3」っぽい終わり方も、 これもまた映画全体に流れる乾いた悲壮感を思えば良しとします。 1年間番組を見てきたファンとしては(もう宣言しちゃっていいや)。

 …ちなみに、この映画の真の見所は、ギャンブルででっかい家を建てた 蛭子能収氏と、ついに好き嫌いせずジャンクフードも食べるようになった 「アギト」の北条です(笑)。


「タイムマシン」(01年版)

 ジョージ・パル監督の旧作版はかなりの名作でしたが、このリメイク版は なかなかの敬意を守っていた映画でありました。ストーリー的には若干の アレンジも加えられ、主人公がタイムマシンを完成させる動機がかなり 明確なものになっているのは、ドラマ的に旧作にない悲壮さと焦燥感を 加えております。まるで 13個のカードデッキを作ったどこかの お兄ちゃんみたいに(済まん)。

 そして主人公、世界崩壊の時代を経て、やってきました80万年後の世界。 パル版を見ている人間としては、「奴らは群れで攻めてくる」という 昨今のハリウッドの集団敵キャラまんまになってるモーロック族 がねえ…。時代の流れと技術の進歩上こうなっちゃうのは当然の帰結 として、ティム・バートン版「猿惑」のエテ公どもと動きが同じってのは…。 いかにも特殊メイクの手作り感漂う“ムービーモンスターの色気”を こよなく愛する人間としては、寂しい時代になったもんです。

 全体的にパル版の基本を守っているという(マネキンの演出とかも)点では 、リメイク映画としてはバートン版「猿惑」より遥かに理想的。ただ、 ああまでパル版への敬意を払いつつ、パル版で最もロマンティックだった 部分…一度自分の時代に戻った主人公が、聖書を含む三冊の本を持って 再び80万年後に旅立つ。その一冊は何の本なのかは明かされない…という クロージング。ここも残しておいて欲しかったなあとも思うけど。まあ、 主人公の台詞による伏線、“未来”を象徴するアクションとなる、 投げ飛ばされる×××(一応伏字)でよしとするか。



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