「ウルトラマンマックス」
第16話〜第20話





第16話「わたしはだあれ?」

宇宙化猫タマ・ミケ・クロ登場
監督:三池 崇史/特技監督:三池 崇史/脚本:NAKA雅MURA

 前回に引き続き、三池崇史監督による抱腹絶倒編!
「ウルトラマン/空の贈り物」、「帰ってきたウルトラマン/ 地球頂きます!」、「ダイナ/うたかたの空夢」など、元々コメディー編も 幅広くエピソードに取り込む柔軟さもまたシリーズを通しての「ウルトラ」 の魅力であり、こうも視覚からして眼に飛び込んでくる可笑しさに溢れた回 については、実は文章でナニが面白かったなんて書くのは野暮とも思います が、今回、できる限り本編ギャグよりもディティール面の感想から…。

 宇宙化猫タマ・ミケ・クロのデザインについてはなんとも円盤生物を想起 させるものではありますが、一つ目が強調される姿形については 「ジャイアントロボ」のガンモンスや大怪球フォーグラー(あえて、特撮版も OVA版もごっちゃにしてます)、ウルトラシリーズでは「ガイア」のガンQ 等に連なる系譜のデザインであります。ガンQって、なんだか放映当時子供に 人気のあった怪獣らしいんですが、やっぱり子供が絵に描きやすいというか、 デザインの判りやすいシンプルさがこの系統のデザインの魅力なのかも。 そしてタマ・ミケ・クロ自体は前記のように円盤生物的な不気味さが前面に 出るデザインながら、尻尾に耳、口と判りやすいモチーフの配置と共に、 デザインの象徴点たる目の演技がなんとも芸達者で、触手の動きといい本編中 ほぼCGでなく操演で扱われているというアナログ風味とあいまって (むしろ今時、操演でこれだけ表情豊かな怪獣を生み出したということ 自体が賞賛の対象なのですが)、エピソードそのものの面白さと共に 「マックス」を代表する怪獣の一匹(三匹?)になれたものと言って 決して過言ではないです。

 今回、やっぱり大きく触れざるを得ないのが今回徹底してギャグキャラに 徹したトミオカ長官とヨシナガ教授のコンビ(笑)。黒部進演じるトミオカ 長官がカレーを手に指令室に入ってきた時点で既に狙い撃ちギャグに なっていて、これはもうご本人が演じている時点でクルル曹長がカレーを 手にしていた構図(「ケロロ軍曹」アニメ版13話および原作単行本7巻) とは根本的な意味が違うというか、右手に持ったスプーンをじっと見つめる という時点で「来るか来るか!?」と視聴者の気を持たせつつ、 「アチョーッ!」とカレーライスを大きく掲げるあたりの落とし具合が 素晴らし過ぎ(グッジョブ!)。

 そして、もはや語ることを忘れていけないのが今回実質上の主役である エリーというか…「もうずっとそこで回っててください」、「だからもう 戻ってこないでください」、「やかましい!」、「…ええかげんにせんかい (ぷしゅー)」――この事件を機に、地球はSFでよくある人間対ロボット の全面戦争に突入していくのであった…という妄想も働きますが。
 戦う術を奪われたマックスに対しての戦術のアドバイスより、そのこれまで の本編中で培われてきた彼女の“心”の籠った説得が逆転の鍵になるあたりの カタルシスに至るあたりの盛り上げ方も最高で、「何も思い出せなくても いい。ただ平和のため、仲間たちを守るために戦うんだって、それだけを 心に思って」「だってあなたはウルトラマン――ウルトラマンマックスだもの」 という、アンドロイドであるエリーの“心”を描いたエピソードとしての 側面もまた注目すべき部分ではないでしょうか。目立たない部分では ありますが、ラストのヒジカタ隊長の締めの言葉に頷くメンバーたちの中、 彼女の表情が笑顔なのも見逃してならないところであります(そのあと、 忘れられてたコバ帰還のオチもまた生きてくるシーン…/笑)

 今回のマックス…バルシャークの名乗りポーズ→「命!」→ご飯を食べる ときお茶碗を持つほうの手。
 今回のカイト…靴下伸ばしたりしてたあたり、「シェー」で変身する つもりだったのか?
 今回の隊長…「自分でむく!」
 今回のミズキ…記憶を失っても、ツッコミの魂は失わなかった。
 今回のショーン…一番回転する役。♪こーわしたーこーわしたー。
 今回のコバ…「俺は仲間じゃないんですね!」だって実質一番目立たないし。
 今回のトミオカ長官&ヨシナガ教授…東京都知事は確かにでっかい人だ。
 今回の九官鳥…いい造形だ(にっこり)。

 そして、ベースタイタンを背に戦うマックスの構図ですが…実は防衛 チームの基地をバックにウルトラマン起つの構図は、自分の乏しい記憶に おいては「初代マン」最終回、そして「タロウ」の第1話以来…。時代と 技術の進歩が基地とウルトラマンのスケールを割り出し、なんとも臨場感の ある構図になっていてギャグ編なのも忘れて見入ってしまいました。 人類側の英知の結晶たる防衛チーム基地と、未知の世界より出でた人類の 守護者たる光の巨人の並び立つ構図! 前記に挙げた2作と比較しても そうしたイメージが素直に沸き立つかっこいい構図で、この画が登場 したというだけで今回はかなり満腹でありましたです。

 …しかし、三池監督2篇に登場した怪獣達は、色々な意味で最強怪獣 ばかりでありました。



第17話「氷の美女」

氷の美女ニーナ/宇宙古代怪獣エラーガ登場
監督:村上 秀晃/特技監督:菊地 雄一/脚本:金子 二郎

 主役が影の薄いコバというのに対応するように印象の薄い話…。

 これはコバが影が薄いのが悪いとかでなく、きちんと演出&脚本がコバと いうキャラクターを引き出すべく機能しているか否かの問題で、むしろ ゲストキャラであるニーナ自身に物語の印象が持って行かれてしまってる 感じ…。昔から防衛チームの“射撃の名手”隊員は、戦闘時における 斬り込み隊長としてチームを引っ張るのが常なんですが(「初代マン」の アラシ、「ティガ」のシンジョウ等)、案外地上作戦を取ることが少ない DASHにおいてはいまいちコバはそういう出番に恵まれず、ある意味 不遇の隊員という見方も出来るんですけどね。

 コバを利用する形で覚醒したニーナを追うコバに、なんで隊員服を着せない のかというのも疑問点…。あれはDASH隊員としてでなく、コバ本人の 意地として自分を利用する女が許せなかったのかという心理描写のつもり ?? そもそも私服で新マシンダッシュドゥカ乗り回していても、これまた DASH隊員コバとしてのイメージを薄くしてる一方というか…せめて 「畜生、俺があの女に利用されてしまったばっかりに…!」という本人の後悔 と責任感を示すモノローグひとつ付けるだけでも、コバのパーソナリティーを 強く示すことが出来るのにね。これじゃあチビっ子のコバファンなんか 付くわきゃないわなあとやけに思ってしまったり。

 まあコバが薄くてチビっ子に人気がないのは置いといて、話の印象の薄さの 割に特撮セット面は大充実で…。エラーガが上陸する海辺の小さな町と、 最初に破壊する臨海都市、そして市街地の大セットと、まさに特撮怪獣番組的 なスケール感とカタルシスを堪能させていただきましたです。パワーアップに よる外見的進化を遂げるエラーガの強敵ぶりといい、特撮にお金がかかってる 構図というのは非常に見ていて気持ちいいというか、このクオリティーを 維持してもらうために、視聴者としては関連グッズ関係に投資しなければ ならんのだろうかとか? 今回登場した、コバ専用ダッシュライザー (銀色の拳銃)なんか、クライマックスにおけるコバとニーナの対峙において 緊張感を損なわない色彩としてかなりかっこよく映ったんで欲しくなりました が(含笑)。

 今回のゲスト…ニーナ役上良早紀はサン・ミュージック所属のタレントで、 google検索からのコピペによると、01年にTV番組「THE夜もヒッパレ!」 から生まれた美脚3人組「ミニスカパン」で三浦理恵子、来栖あつこと ともに、島倉千代子のカバー曲「愛のさざなみ」でCDデビュー。 いえ申し訳ないけど覚えてない。

 ラストにおいて、今回の事件を振り返ってテーマ的なことを ディスカッションするあたりの締め方は本当にウルトラ的というか、これ見て またも「セブン/遊星より愛を込めて」を思い出してしまう自分は円谷に とってはヤなファンかも(苦笑)。
 ところで今回、コバの顔をまじまじ見て思ったんだけれど…コバって影が 薄いのは、眉毛も薄いもんで印象に残りにくい顔してるせいだよ! コバ 隊員をチビっ子にプロデュース作戦、さっそく来週からぶっとい付け眉毛を 装着し、毎度毎度意味なく「うおぉぉぉっ!」っと絶叫しつつ、やたらと ダッシュデリンジャーを撃ちまくる凶暴トリガージャンキー隊員に イメチェンだ! いやあ、これでチビっ子の人気独占だ(ぷぷぷっ)!



第18話「アカルイセカイ」

幻影宇宙人シャマー星人登場
監督:村上 秀晃/特技監督:菊地 雄一/脚本:福田 卓郎

 ワハハ本舗座長・佐藤正宏をゲストに迎えてのシュール編。

 佐藤正宏演じるシャマー星人の強烈なキャラのおかげで一見ギャグ編とも 取れますが、フレデリック・ブラウンの「火星人ゴーホーム」同然の愉快犯 的侵略行為の恐ろしさを描写した話でもあります。人の迷惑顧みず、神出鬼没 かつ縦横無尽にDASHとマックスを翻弄する様のコメディキャラ ぶりと裏腹に、実はかつての知略宇宙人たち以上に侵略者としての余裕と 自信を感じさせるというある意味そら恐ろしい侵略宇宙人…。侵略という 緊張した空気の中にて、侵略される側を翻弄しその緊迫した空気を嘲笑うこと こそが実は一番心理的に恐ろしい侵略行為ではなかったか…? ゼットン星人 のような圧倒的武力に訴えてくる手法もそれはそれで恐ろしいものがあります が、口だけ達者だったスラン星人あたりは、もうちょっと侵略的手法を 学んでから地球に来るべきでなかったかとも思いますです(苦笑)。

 さて、実は前回、今回と番組の空気自体は極めて「セブン」的で…。前回、 地球人の起源に対する謎掛けを謎のままに終了させるミステリアスなムードと、 今回のシュールかつ底知れない恐ろしさを孕んだ雰囲気、侵略行為の失敗から なお闇に逃げ込んでいく宇宙人というディティールからして「セブン」という 空気を漂わせております。
 今回、本当にカイトが指令室内の照明を落とす瞬間までストーリーの先が まったく読めなかったという脚本と演出の巧拙さが光っており、イチ視聴者を もしっかりと番組の空気の中に引っ張り込んだあたり、地味ながらも記憶に 残るエピソードになったのではないでしょうか。

 そしてシャマー星人…。愉快犯的知略侵略者とその意外な正体というあたり、 実はウルトラシリーズよりは「特捜戦隊デカレンジャー」20話に登場した ゲルマー星人が真っ先に思い浮かんだのですが(個人的に一見お勧め エピソード)。前述したように演じた佐藤正宏の芸達者ぶりが、一見お笑い 宇宙人でありながら底知れぬ怖さを持つ存在というよいキャラクターを 与えております。そのシャマー星人最大のエジキとなったヒジカタ隊長ですが、 ちょっと苦言を呈すれば、もはや完全に番組内のギャグメーカーとして ポジションが定着しちゃって、そろそろ隊長としての威厳を示すエピソードを 用意しないとまずいのではとか。まあ歴代隊長中かつてないほどのいじられ 隊長という貴重なキャラクターではありますが(笑)、まさか「あいつには 勝てそう」って理由でチビっ子に人気になっとらんだろうな??

 今回の隊長…宇宙人と名刺交換した始めての防衛チーム隊長。 「くっそー…どうしよう?」視聴者も見ててどうしようと思ったよ…。
 今回の基地警備員…ふかわりょうっぽいリアクションが良いねえ。 
 今回のダッシュバード1号…モード変形に板野ミサイルキターーーッ ! こういうオモチャが売れそうな画は、メカ好きとしても見てて歓迎。

 まあ今回、どちらかというと本編よりも次回予告のほうがとてつもなく話題 になる気が(苦笑)。往年のファンとしての意見ツッ込みその他諸々は来週に 譲りますが、エリーのあの制服、ボディパーツの一部って訳じゃなかったのね (肩のジャバラとか、ずっとこういうロボっ子と思ってたよ)。



第19話「扉より来たる者」

空間移動宇宙人ターラ星人/戦神ギルファス登場
監督:村石 宏實/特技監督:村石 宏實/脚本:林 壮太郎

 ゲスト森次晃嗣キターーーッ!! 「仮面ライダー剣(ブレイド)」での 終盤まさかの準レギュラー出演も記憶に新しいところですが、この方も30分 モノの特撮シリーズには欠かせない顔であります。あ、判ってると思うけど 老眼鏡を構えるポーズにはあえてツッ込みませんので(先週の予告の時点で 充分だわな)。

 今回個人的に偉いと思うのは、これだけインパクト抜群のゲストを招聘して 置きながらも、あくまで後方から新世代の戦士たちDASHを見守る役に 徹しさせたこと。普通にこれだけの人が番組に出られるとなれば、DASH メンバーと一緒に異次元に引きずり込みたいと思うのが人情だし(笑)。 むしろ「帰ってきたウルトラマン」以来の黒部進とのツーショット(単純に 共演なら、「タロウ」でもやってますが)だけで今回はお腹いっぱいというか …。劇中、黒部進演じるトミオカ長官を指して「あの人はエリート、自分は 風来坊」と称するあたりも判りやすいまでのくすぐりポイントであります。

 さて、きちんと本編に目を向ければ、これで番組中都合三度目となる「過去、 地球を訪れた光の巨人」に言及するエピソード…。「龍の恋人」、「バラージ の予言」では多少ヒント的に提示されていた光の巨人伝承について、カイトの 脳裏に流れ込むマックス自身の遠い日の記憶、異次元への扉の奥に潜んでいた ターラ星人による、人類を導くことへのM78星雲人との確執…。

 ここで思い起こすのが「ティガ/永遠の命」にて語られた「ウルトラマンは 人類の選択には干渉しない」という台詞ですが、人類の好戦的な気質を 見抜いて、自らを神として強引に人類を導こうとするターラ星人の傲慢さ。 「すべての命は等しく自身の意思で成長を遂げるべき」と、人類の危機に手を 差し伸べることはしてもその成長への選択には干渉しないウルトラマンの 超然さ(それは、ある意味においては放任とも無責任とも捉えられて しまいますが…)。果たして人類が辿るべき道はどちらが正しかったのか ――? 過去に光の巨人が地球に降り立ったという歴史が明確になったと 共に、そんな壮大なSF的ファクターを孕んだエピソードでもなかったで しょうか?

 そしてアクション面に目を向けて、今回も特撮界の武闘派村石宏實監督 来た来たぁっ! この人の味は、むしろアクション面に発揮されるような気が すごくするんですが、その期待に違わないギルファスの強敵ぶりが凄まじく 良! ギルファス自体も、ロボット怪獣というよりはまさにアニメのロボット 風味のデザインで(本当に、異世界冒険ものアニメあたりなら主役メカ 張れそう…)、トサカに装備された投擲武器も兼ねる剣といい、おそらくは 過去に地球に訪れたウルトラマンに対抗するためであろう武装の数々が 果てしなくかっこええ。やべえっス、ソフビ人形でたら真っ先に買いに 走りそうであります(苦笑)。

 今回のショーン…ダッシュデリンジャーを手に「ボクが作ったんダヨ」。 変な外人ぶりがいつもながらイイ感じ。
 今回のコバ…拘束されたミズキを射撃で救出したりターラ星人にトドメを 刺すオイシい役どころ貰ったり、なにげに二丁拳銃の名手ぶりがクローズ アップ。ついに地味一直線から人気者化計画発動か!? いや専用の シルバーカラーのダッシュライザーの商品化が決まったからだな(にやにや)。
 今回のエリー…アクティヴモード全面肯定! 宙に脱ぎ捨てられる上着と、 華奢な身体が手にする重火器というヲタの人向け萌え要素全開! というか やっぱり戦闘用アンドロイドとしても機能するのね。いずれ等身大宇宙人と、 美少女剣戟アニメ「BLOOD+」ばりにサシで勝負する日が来るかも。

 今回、やっぱり個人的な注目点は「過去に飛来した光の巨人伝承」に、 ついにウルトラマン自身の記憶が絡んできた点で…。太古の街バラージに 青い石をもたらしたノアの巨人、三千年前タブラを石倉山に封印した 光の巨人、ティガの遺跡にて発見された三体の巨人像…シリーズを通して 度々提示されてきた、過去の地球と光の国の接点がいよいよ「マックス」 にて語られることとなる――かと淡い期待を抱いております。もちろん、 森次晃嗣と藤谷文子、ペアでの再登場もね(わくわく)。



第20話「怪獣漂流」

亜空間怪獣クラウドス登場
監督:村石 宏實/特技監督:村石 宏實/脚本:太田 愛

 のっけからいかにもTBS系チャンネルっぽいホームドラマで幕が開く 展開、この手のドラマには欠かせない(笑)芳本美代子と、ファンには 御馴染み「ダイナ」ナカジマ隊員役小野寺丈をゲストに、さらに平成以降の シリーズにて多くの傑作・佳作を書いてきた脚本家、太田愛を招聘した なんとも豪華なマックス版「東京サイレント作戦」(「80」第7話) であります。

 上記で「なんとも豪華な…」と評しましたが、シリーズのファンにとって 本当に小野寺丈と太田愛の参加は拍手モノで。特に太田愛については 「ダイナ」でもハートフル&コミカルな作風のエピソードを多く担当し、 番組自体の空気が極めて近い「マックス」においても違和感なく物語が 展開していたというか、本当に「ダイナ」やってるようなデジャヴすら 覚えてしまいましたです。今回のショーンの役割が、本当に小野寺丈の演じた ナカジマまんまだったし(にやり)。

 本編については、平成の東京サイレント作戦にて街中を右往左往する メンバーたちと、その真下の大騒ぎをよそに悠々と寝ちゃってやがる クラウドス(命名・一度怪獣の名前を付けてみたかったトミオカ長官/ 「変です」)、その七転八倒する事態を前に一喜一憂する指令室の様子との シンクロ具合が素晴らしいまでにシチュエーションコメディーとして成立 しております。特に今回、トミオカ長官、エリーら指令室常駐メンバーの 仕事があまりに秀逸。人間味溢れるトミオカ長官のキャラと、そのクール ぶりがもはやキャラとして独り歩きしているエリーとのコンビネーションを 開発せしめたというのも本エピソード最大の成果ともいえ、放映を見たあと チビっ子の視聴者が「事態は好転した」、「難しい、判るように説明してくれ」 とモノマネして遊んでいるのが目に浮かぶようであります。

 また、実は平素のベタベタぶり以上にカイトとミズキのコンビネーション 描写が強調されているというか、変身前でのダッシュアルファ車内での ドタバタぶり、変身後での、クラウドス及び芳本美代子の体重に苦しめられる シチュエーションのシンクロ等、いつものバカップル状態以上に微笑ましく 見れましたです。

「わたしはだあれ?」の苛烈なギャグのつるべ撃ちが現在のお笑いブームの 刹那的な笑いと言えるなら、今回は長年の伝統で練り上げられた大衆演芸の 世界。ハイどちらのほうが面白いかということでなく笑わせていただきました。
 これらの点の、視聴者を引き込む微笑ましさに楽しさからしてまさに 「ウルトラ」が積み上げてきた演出の妙と言え、改めて、「ウルトラ」を 見る素直な楽しさを取り戻してみせたという意味でも、「マックス」が 単なる、安易な過去の遺産頼りの「ウルトラ」になっていないことを証明 していると言えないでしょうか。他人に「マックス」のエピソードを幾つか 推薦するなら、これも推したい話の一篇となりましたです。

 今回の山口さん(ナカジマ隊員)一家…いろんな意味でミラクル(奇跡の )家族。おじいちゃんも雲の上で微笑んでいるぞ。
 今回の隊長…実は、怪獣の落ちそうな位置に自分の家があるとか、そういう ギャグとばかり思っていたよ。
 今回の怪獣クラウドス…デザインおおひなたごう(たぶん)。「鼻センを している!」「というか鼻の位置が変だ!」「おまけに鼻の穴がこんな ところにあるそうじゃないか」「鼻の位置は関係ないでしょう!」「俺の 鼻の位置はここだ!」

 余談ながら…劇伴BGMを劇中の楽団が演奏するというシチュエーション については、実はアニメのほうで「勇者エクスカイザー/勇者に捧げる 音楽会」という前例があったりします。こちらのほうは、劇中楽団が演奏 する(いつもの)合体BGMに乗って勇者ロボたちが合体していくという 燃えるシチュエーションが見られたり。

 追記。前回の感想について、他の感想サイトさんのほうで「レオ/怪獣の 恩返し」の再現という記述が見られて、うわしまったすっかり忘却の彼方に 吹き飛んでいたよ! なんかすげーくやしい!


豪雪地帯酒店・第二事業部はものをつくりたいすべての人々を 応援します。


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