「ウルトラマンマックス」
1話〜5話
第1話「ウルトラマンマックス誕生!」
溶岩怪獣グランゴン 冷凍怪獣ラゴラス登場
監督:金子修介/特技監督:鈴木健二/脚本:梶 研吾・小林雄次
前作「ネクサス」のじっくり見せる展開に慣れたためか、冒頭の楽しい
ハイキング→災害発生と子供の怪獣目撃→怪獣目撃を信じてもらえず、
カメラを手にひとり山へ戻る子供→怪獣出現、特捜チーム出動!→子供を
救うために山へと向かう主人公…OPまでの5分でこれらを見せる
スピーディーな展開にまず「うひゃー」となってもうた。まあ、視聴者の
お子さんの視線をテレビに集中させるという意味ではこのぐらいのMAX
スピードぶりは丁度いいかも。
危険なところを助けてもらいながらもDASH隊員に反抗的な態度を
見せる主人公に「なんじゃこいつは」と思いつつ、いきなり戦闘機に
乗り込ませるための説明も兼ねた「DASHの採用試験に落ちた」という
台詞でそのコンプレックスぶりも納得(苦笑)。まあ「帰りマン」〜
「80」までズブの素人新隊員(「セブン」については…ズブの素人という
印象が薄いのであえて割愛)が極めて短い訓練期間でハイテク装備や戦闘機の
使用を任されなければならない環境にあったのを思えば(「ザ・ウルトラマン」
も除く)、事前知識とコンプレックスがあったというのはなんてMAXな
説得力(ぷっ)。
あと判っちゃいるけど、やっぱり黒部進と桜井浩子のツーショットは…
番宣以外の何者でもないキャスティングなのにこみ上げてくるものがっ…!
ナレーションの佐野史郎起用といい、今後もまたあほな特撮ファンのDNA
に訴えかけるMAXな特撮関わりゲストの登場とかに期待してしまいますが。
あ、宍戸開隊長は元エイトマンです(東京ドーム公開版…)。
そしてもちろん、前作での鬱憤を晴らすような都市セットへの怪獣侵攻
(山と川が混在する地方都市という立体感あるステージと、作りこまれた
ミニチュアセットにじっくり目を見開いてしもうた…この辺はさすがの
金子修介&鈴木健二のコダワリか?)と、ネクサスの苦闘ぶりを吹っ飛ばす
ような爽快なウルトラマンマックスのアクション! 視聴していてテンション
がMAXまで高まる瞬間というか、ああ、円谷とバンダイの戦略に
引っかかってしまったことも判っているのに…これぞ見たかったウルトラ!
スマン少なくともわっしは好きだ! マクシウムソード(アイスラッガー)
が怪獣をバラバラ切断できないのは、やっぱり放送コードの問題?
「ネオス」もそうだったんだけど、やっぱりなんとも保守主義というか、
奇をてらわない直球なウルトラは視聴時の安心感もあって、素直に見ていて
応援できるんですよ。「ネクサス」はじっくり噛み締めて愉しむ番組
だったけれど、「マックス」については、まさに休日の朝に相応しい番組を
始めてくれたと思っております。今後も「コスモス」のくされ視聴者おもねり
平和主義なんか忘却の彼方に吹き飛ばして、爽快さMAX、痛快さMAXな
シリーズになってくれることを願わんばかりであります。
補足。今回ゲストのお母さん役山本奈津子さんは、金子修介監督の
第1回監督作品の主演女優だった方。21年ぶりの一緒のお仕事だとか。
あと番組中の変身アイテム、マックススパークのCM見てたら、なんか変身
アイテムからセブンの変身音が…! やべえ、あの音が出るオモチャと
いうならめっちゃ気になる…。
第2話「怪獣を飼う女」
放電竜エレキング登場
監督:金子修介/特技監督:鈴木健二/脚本:梶 研吾・小林雄次
のっけからの夜の街へのエレキング出現は「タロウ」28話を彷彿とさせる
画ですが、その後に続くDASHメカの発進シークエンスはやっぱり男の子
ゴコロをわくわくさせてくれますです。しかし今回スタッフが目指したのは、
どうやら「ウルトラマンの2話」ということで「侵略者を撃て」らしく、
それが顕著なのが夜中に叩き起こされてのDASH緊急出動の様(笑)。
ある意味アットホームな雰囲気はまさしく科特隊やZAT、あるいはチーム
アイズといった陽性チームの構図で、アンドロイドであるが故に人間性の理解が
足りていないエリー(ロボっ子萌えキャラ?)の容赦ないツッ込みが、
DASHというチームの性格を効果的に表現しているとも見えましたです。
エレキングを飼ってた女が「なんでえピット星人じゃねえのかよ」と
いうのは特撮オヤジによる愛のないツッ込みながら(演じた天川紗織さんは
2000年度のミス日本に選ばれた後、日中合作映画『王様の漢方』のヒロイン
にも抜擢された女優さん)、水槽に飼われて卵まで産み落とすエレキングには、
ぶっちゃけ不気味さよりもポケモン的な可愛さがあった気も…まあ、前作
「ネクサス」が休日の朝からドロドロしてたのを見せすぎてた訳ですが。
そして、尻尾でトラック1台叩き潰すエレキングに対して(このトラックが
本当に金属製のミニチュアで、その潰れ具合の質感にやけに感心してしまった)
マックス変身…セブンの変身音キターーーッ! セブンやジョーニアスを
彷彿とさせる変身が今となっては不思議に斬新に見えるというか、そして
エレキングとの決闘に重なる佐野史郎の興奮を隠せない口調のナレーションが、
まさしく「自分たちの好きだったウルトラマン」の帰還をいやがおうにも盛り上
げる!
…ここから嫌なツッ込み。親エレキングの最期とともに水槽に産み落とされた
卵も消失するというのは、いかにも「怪人の爆発とともに怪現象のすべてが
解決」という東映ヒーロー物のフォーマットで、エレキングの産卵を巡る
サスペンス面もドラマに盛り込めなかったかと思いますが…まあそれは尺の
問題上仕方ないかと好意的に妥協することとします。
今回のエリー(萌えロボっ子)の学習要項…「潤滑油」、「ジェラシー」。
あとショーン隊員の仇名は「ダヨダヨ大将」に決定(このサイトの中だけ/
苦笑)。それと今回もうひとつのキモは、予告終了後の「マックスBOX」
…太ったな、エレキング。
※追記。上記の『「ウルトラマンの2話」ということで〜
それが顕著なのが夜中に叩き起こされてのDASH緊急出動の様(笑)』に
ついて、隊員寝起きギャグをやっていたのは「空からの贈り物」だったことに
一度アップしてからようやく気付きました…(恥)。ここに追記とともに
お詫びします。
第3話「勇士の証明」
古代怪鳥レギーラ登場
監督・特技監督:村石宏實/脚本:川上英幸
特撮界の武闘派、村石宏實監督を招聘しての第3話(ますます
「超星神シリーズ」とのスタッフの取り合いが顕著になってるような…
視聴者としてはこれも特撮界の活況と喜んで捉えるべきか)。
内容的には「帰ってきたウルトラマン/タッコング大逆襲」や
「ウルトラマンダイナ/めざめよアスカ!」といった、「慢心に陥った
ヒーローに光は応えない」というシチュエーションではあります。失敗して
帰還したカイトに対し投げかけられるヒジカタの台詞、「自分たちや
マックスがやっていることに証が必要か?」とは、実は今回のサブタイ
そのものが否定対象ではなかったかという辛辣な言葉…。かつての郷や
アスカ同様のジレンマ(実はこのジレンマの持ち主は、「ウルトラマン/
小さな英雄」でのイデが起源とも言えるんですが)を持たせたことで、
カイトもまたシリーズを通して成長していくヒーローとなるのでしょうか?
とにかく派手な企画、要素を持って始まった「マックス」ですが、序盤の
タルさを経て中盤以降充実したドラマ面を魅せてくれるのもまた「ウルトラ」
の定石にて伝説(苦笑)。単に話題先行だけの「ウルトラ」にしないという
スタッフの意気込みを信じてまた次回も楽しみにしたいところであります。
特撮面についても今回もまた充実! レギーラとの初戦での板野サーカス
キターーーッ! CGによる機体の動きと、実写によるコクピットの回り込む
カメラワークとのシンクロが抜群で、早起きして見ていて完全に目が覚めた
ポイント(細かいところでは、ダッシュバード2号のダッシュマザーへの着艦
描写もまた心ときめくメカ描写)。「ネクサス」の感想を言う時しつこく
書いてたんですが、板野サーカスを見て胸がときめかない80年代アニメ
ファンくずれはいません。風力発電施設でのマックス対レギーラの戦闘に
おいても、舞台設定といい翼が付いた怪獣といい「ティガ」でのゾイガー戦
を思い出すところですが(魅力的な悪党面に、腹から牙を伸ばしたり補足光線
を出したりと、レギーラの芸達者ぶりにも割と惚れ惚れ…)、レッド族と
してのパワフルなマックスのアクションが冴え渡るマクシウムソード
居合い斬り…! まさしく武闘派、村石宏實監督の面目躍如というか、
今後の村石監督担当話もまた期待であります(喜)。
今回のダヨダヨ大将(ショーン)のお言葉「サムライボーイ」。エリーの
歓喜表現、首ガクガク(含笑)。
なお、今回より登場したDASH専用車両、ダッシュアルファのベース車は、
自分の特撮の先生格(苦笑)さとう様によるとアルファロメオGT
(最安車でも438万円とのこと…)。レギーラ
からの攻撃を掻い潜って疾走する場面の、ミニチュアワークと実車撮影との
シンクロ具合もまさしくウルトラらしさで(笑)、予告を見る限りでは次回も
活躍しそうな塩梅。ベース車が高いので、撮影中壊したりせんでねと
ちょっとだけお願いですな。
第4話「無限の侵略者」
高速宇宙人スラン星人登場
監督・特技監督:村石宏實/脚本:梶 研吾・林壮太郎
ついにというかで初の侵略宇宙人登場編。監督が前回に引き続き村石宏實
監督(武闘派)というのもあって、なんとなく「ウルトラ」の一編という
よりは「グランセイザー」第3クールでの侵略宇宙人続々登場編を彷彿と
させますが、高速宇宙人の名に恥じないスラン星人のハイスピード演出
ぶりは、変身前の警備員役俳優さんのイイ仕事とあいまって視覚的な説得力に
満ちております(苦笑)。
スラン星人の侵略目的が、人類による行き過ぎた環境破壊への糾弾に端を
発してるあたりはなんとも「スペクトルマン」の宇宙猿人ゴリ
(祝、映画
「魁!!クロマティ高校THE★MOVIE」
出演)的でありますが、村石監督が「スペクトルマン」の製作会社ピープロ
出身ということを思えばなんとなく感慨深くもなったり。カイトの「人間
には、過ちを正そうとする心がある!」の叫びはいかにも子供向け特撮
ヒーローの台詞と揶揄される部分ながら、思えばスペクトルマン=蒲生譲二
が指令官的存在であるネヴュラ71の命令をも超越して人類を愛し、守る
意思に至ったのは、公害という地球の汚染を正そうとする公害Gメンたちの
努力とその“過ちを正そうとする心”に触れたからではなかったか?
実は今回、上記の通りなんとも円谷以外の製作会社のテイストをあちこちに
感じたのですが、これも「最強、最速のウルトラマン」に注がれるべき
新たな血肉となるはず。折に触れて言っている通り、単なる前宣伝倒れの
ウルトラにしないというスタッフの意地をまた期待しますです。
ディティール部分に目を向けて、「激走戦隊カーレンジャー」の車
ペガサスサンダー(ベース車=カマロ)
ばりの変形といよいよその真価を見せてきたダッシュアルファと、第2話に引き
続きの隊員寝起きギャグ(笑)。演じるのがカイトというあたり、メイン
視聴者である子供たちに親しみやすいキャラクターになりつつあるのが好感。
イイ感じにツッ込みを入れてくれるショーンもまた好感度アップであります。
アクション面について、今回もマックスのハイスピードぶりが際立った
アクションはまさしく「最強、最速のウルトラマン」を視聴者にアピール
していて、このカッコよさのまま多くの視聴者に受け入れられるウルトラマン
に昇華していってほしいものです。
今回のエリーの分析、「あの二人のトラブル発生率99.95%」。これを聞い
てひそかにラブコメ的痴話ゲンカギャグを期待していたあたり、大人の萌え
煩悩で番組視聴していて愚民なさい(トホホ)。
第5話「出現、怪獣島!」
装甲怪獣レッドキング 両棲怪獣サラマドン
飛膜怪獣パラグラー 電脳珍獣ピグモン登場
監督:栃原広昭/特技監督:鈴木健二/脚本:たけうちきよと
実は今回放映の前日、「ゴジラ ファイナルウォーズ」DVDの発売日
だったということもあり、怪獣続々出現バトルロワイヤルの興奮も
冷め遣らぬ状態にて視聴したのですが、OPテロップの「螢雪次朗」の名前で
キターーーッ!! 願わくば金子修介監督の回にて登場して欲しかった
というのもありますが、やはりこの人の顔が特撮に出てくると、口元が
にやつくのを抑えられませんです。登場時のインディ・ジョーンズモドキの
格好だけで存分に笑わかせていただきました(よっしゃ!)。
超古代文明という、もはや安っぽくもあるワードを切り口にした展開は
いかにも「ガメラ大怪獣空中決戦」以降の脚本というかで、石碑のメッセージ
からしていかにもな警告文はもうちょっとひねって欲しかったと思うところ。
そしてその遺跡の監視役とも言えるピグモンも、「コスモス」のガモラン
(ミーニン)ほど凶悪なアレンジでなく、なんとなく顔でかくなったあたり
キャラクターとしての可愛げを狙っているかというかで微笑ましくもあります
です。そのでかい顔ひとつでサラマドンを引かせるあたり、ピグモンもまた
怪獣界の重鎮として怪獣島(サブジェクト・ファントム)をシマに顔役として
出世したようで、昔馴染みの怪獣好きとしては感慨もひとしおであります
(含笑/ピグモン、ガラモンのマスコットキャラ系アレンジのひとつの到達点
としては「ウルトラQ ダークファンタジー」のガラQがありますが)。
そして満を持して登場の、怪獣界の清原ことレッドキング…。ピグモンと
共に元祖である「怪獣無法地帯」から、そのキャラクターを踏襲してるあたり
もオヤジファンからすれば嬉しいところ。そして「レッドキングが体内に
強力な爆発物を飲み込んで云々…」の「怪彗星ツイフォン」ネタもこれまた
昔馴染みの怪獣好きの琴線に触れるネタ。その怪力を生かしてマックスを
存分に痛めつけるあたりの凶悪ぶりは、実はかつての歴代レッドキングたちが
案外ウルトラマンたちに翻弄されてきたことを思えば、「本当に強い
レッドキング」を堪能させてくれました。あと一歩手前までマックスを
追い詰めての、けつまづいてズッコケたという怪獣界のジャイアンぶりも、
初登場から40年を経てウルトラ怪獣の代表格として愛され続けてきた由縁か
(笑)。
ところで、今回そのレッドキングの当て馬役に徹した新怪獣サラマドン
ですが…その三下的なキャラクターといい地味っぽいデザインといい、
チャンドラーやマグラと言うよりは「スペクトルマン」のモッグスっぽかったり
(苦笑)。
あと今回、レッドキング、ピグモン、螢雪次朗の三大怪獣(ヲイ)の陰に
隠れたためか、DASHメンバーの見せ場が霞んでしまいましたですな。
(しかし螢雪次朗ほど怪獣を前に右往左往する役柄が似合う俳優はいないと
いうか。螢雪次朗と言えば世界でこの方ひとり、その怪獣演技を昇華された
芸として人間国宝に指定すべきでありますです。←わりとほんき)。
※モッグス…「スペクトルマン」イチの雑魚怪獣。あのパイロット・フィルム
にて首チョンパされる役から始まり、「大激戦 !! 七大怪獣」での
頭数合わせや最強怪獣デサイトマン完成のためのスペクトルマンのデータ
分析用の囮。そしてエンディングでスモッグ吐いてる役。スペクトルマンに
最初から最後まで関わったという意味では重要な役柄ながら、
あまりの地味な顔つき体つき故に印象には残りにくいかも…。
豪雪地帯酒店・第二事業部はものをつくりたいすべての人々を
応援します。
目次へ