高山良策さんは立派な人だった企画

「夏休み工作教室 怪獣を作ろう」
って、え?


復刻版「スペクトルマン 3巻/角川書店」476ページより。

「さあ夏休みだ( 2月だよ)! この長い休みを利用して怪獣を作ろう (建国記念日だよ)。

 まず材料と道具を集めよう…。まてよ、その前に何を作るのかが問題だ。 そう、みんなの知ってるやつがいい。「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」 に出てくる“ ネズバードン”にしよう。よし、決まったらさっそく 材料と道具をそろえて、作業開始といこう!(原文まま)」

 そういうことで建国記念日にナニをやっとるのかと思われますでしょうが、 昭和46年の少年チャンピォンに掲載された、高山良策氏監修による 怪獣工作教室です。このページが自分が参加している同人誌のネタ にされていて、ゴロゴロ読み返してるうちに「ひょっとしたらここに 載ってる材料、ほとんど100円ショップで 揃うんでないかい?」とまた余計なことを思いついて… ふと気付いたら材料が揃っていてしまいました(汗)。

 しかしまあ、よくよくこの記事を読み返してみると、流石は昭和の 名怪獣造形師、高山良策さん。子供が揃えられる材料 で、誰もが挑戦できる造形入門 という記事になってるのは非常に興味深いです。

 「造形に興味を持った誰もが、手軽に実際に 造形に手を付けてもらうためのガイド」。 手前味噌ながら、それはこのHPの目標と合致するものであります。

 昭和46年当時、怪獣作りの神様的存在でもあった高山良策氏が 当時の子供達に向けた造形ガイドがいかに造形記事として正確だったか、 それを実証する意味も込めて、今回の企画として当時の記事に 出来るだけ正確に記事通りの怪獣造形を実行することとしました。
 第二次怪獣ブーム初期、怪獣作りの神様が当時の怪獣好きの子供達に 送った怪獣作りの技術と、自分で大好きな怪獣が作れるという 大きい夢を、約30年遅れながら受け取り 完成を目指します。

 …ところで実はこの記事、決定的な間違いがあるんでここで声を大にして 言っておきますが…

ネズバー"ド"ンじゃねえ、ネズバー"ト"ンなんだよ!

(2004年2月11日記)


2月11日(水)



 とにかくまずは記事にそっての材料集めです。記事によると造形用の メイン素材としてウレタン製のマットレスが指定されてますが、当時の 子供達の中にそれはお風呂マットがそのまま使えるんだ と気付いたのはどのぐらいいたかのお? こちらも当初はお風呂 マットをそのまま使うつもりでいましたが、ちょうど店頭で発泡ポリエチレン 製の梱包材を発見し、面積も概ねちょうどいいことからそれを利用することに 決定です。接着剤はもちろん、記事通りにGボンド。



 これまた記事にそって型紙作り。記事によると、古いハガキ4枚を使うと 指定されていますが、 古いハガキは郵便局に持っていくと1枚5円の手数料で新しいハガキか 切手に交換してくれるんだい。



 ともあれ型紙を梱包材シートにトレースし、



 ハサミで切り抜いたシートをGボンドで積層ブロックとして貼り付け、 1日目はここまで。


2月13日(金)

 昨日はGボンドの乾燥待ちで休み。その休み時間を利用して、 手持ちの「スペクトルマン」のレーザーディスクにてネズバートン 登場の前後編をチェックしたです。

 そういうことでボンドも乾いて しっかり接着できた積層ブロックに、記事の指示通りに ハサミで形出ししていきます。



 ハイこんな感じでハサミでジョキジョキ形を出していきます。



 これまた指示通りに尻尾を糸でグルグル巻きにし、



 全身をイッキで組み立てました。

 こうしてみると本格的に怪獣作ってるなという気分になってきましたが、 実は昨日レーザーディスクでチェックした実物と比べて、頭が多少 ディフォルメが入ってるぐらいに大きい…実際の着ぐるみだとこの双頭の 部分が役者の手が入るギニョールになっていて(平たく言えばウシくん カエルくん)、結構不気味に動く怖さを演出してたりするんですな。また ネズミとドバトの合成怪獣らしく頭や背中に植毛が施されてたりする んですが、さて記事の指示によると…「サインペンで首や足のまわりに 毛を書く」。

 うわビミョー(泣)。

 …まあ、それこそ100円ショップ探せばいくらでも植毛用の素材とか 見つかりそうだけど、ここはあくまで「当時の記事の再現」にこだわって みようと思います。ただ「サインペンで毛を書く」だけは勘弁して ください(トホホ)。




2月15日(日)

双頭怪獣ネズバートン、完成です!





 1日置いてGボンドをじっくり乾燥させ、またも記事通りに 「 サインペンで口の中を赤く塗り、このみの色をラッカースプレーで 吹きつけ」ました。



 眼は記事では「南京玉を縫いつける」と ありますので、もちろん記事通りに南京玉=ビーズを縫い付けましたです。



 色についてはたまたま手持ちの缶スプレーで怪獣っぽい色がダークブラウン しかなかったのでそれを吹き付け。
 かくして 当時の記事に書いてあるまでの工程はすべて終了です。

 もちろん、現在の目から見れば以上の工程で出来上がるブツの出来映えが ヌルいのはまあ当然で…作った本人としても、先日書いたとおり植毛とか、 劇中の着ぐるみ通り齧歯類らしい前歯を付けたかったとかイロイロあるです。
 しかしまあ、今回の造形意図はあくまで 「昭和46年時の、造形記事に基づく造形」 ですので、今回のところは当時の記事で「完成」とされていたところまでで ストップです。



双頭怪獣対剛碗提督

 なんのことはない比較画像ですが、いかにバカでかい怪獣が出来たかと いうのは確認できると思います。
 ちなみに完成までにかかった費用は、素材は100円ショップで購入し、 梱包材シートとビーズ取り用のビーズストラップとGボンドが2本で しめて消費税込み420円。この値段でバカでかい怪獣が作れたとなれば、 考えようによってはお得だったのかも?

 さて、こうして今回の企画も実質3日の製作期間を経て無事終了ですが、 やはりこうして現実に怪獣が出来てしまったあたり、素材の指示も 含めてつくづく高山良策氏の素材に対する観察眼、造形の工程など 、実際手を動かすと思ったより学ぶ物は大きかったです。
 もちろん記事通りに作ってできる物はこうして拙い物とはいえ、 33年前、この記事がどれだけの当時の怪獣ファンの子供達に、 果たして パーフェクトガンダム改造法級 の衝撃を与えられたのか喝采を持って受け入れられたのか?  残念ながら自分はほんのひとつ世代がずれているため 確認のしようはありませんが…できれば「俺、昭和46年当時チャンピォン 読んでたよ」という人にお話を伺ってみたい物です。当時の「チャンピォン 」での一峰大二の活劇漫画となれば、今だったら「バキ」みたいな 存在だったんだろうか? ともあれ、怪獣作りの神様の手腕と 精神を、ちょっとでも継承できた気分になれたのは楽しい作業でしたです。 大らかなる昭和造形万歳! 高山良策さんは間違いなく 偉大なる先人でした。こうした先人の方々には敵わないまでも、 些少でも造形の楽しみを伝えられる、そんなHPを今後も目指して いきたいですな。

 あ、ネズバートンは折を見て植毛、体表処理及びリペイントした 21世紀バージョンとして改修するです(含笑)。



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