もしかしたら地球に優しい企画

人様からのいただき物を使って
オリジナルメカを作ろう


お世話になった方からのいただき物とか 買ったのに作らないでいた模型とか死屍累々(泣)。

 同趣味の方と交流を持ったり、イベントに出たりするようになると、 ありがたいことにご厚意でいただき物をもらう機会も多くなりした。 しかしせっかくのいただき物も、作らないままでいては押入れの肥やし。 そういうことで今回の企画は、せっかくのいただき物を使って、自分の中に 眠るSFメカセンスを呼び起こし、何やらなんやらオリジナルメカを 作ってみようという、これまた身も蓋もない企画でございます。
(2002年8月27日記)




8月27日(火)

 もちろん、せっかく作るなら変形メカです。最近富野由悠季監督の最新作 「オーバーマン・キングゲイナー」を見て、妙にああいうパーソナルサイズ のロボが欲しくなったというのもあったので、スケールは1/48、サイズ は1/100のガンプラ程度と決めます。そういうことで、変形の要となる 胴体から胸の部分をプラ板で作りました。ポリキャップが所々に仕込まれて るので、この段階で本体の変形が出来てしまうわけです。なお、コクピット 周りは安価な1/48キットということでアリイ製の紫電から。
 そのほか、流用するパーツにも可動部分用のポリキャップを仕込んでいって 1日目はここまで。

 


8月28日(水)

   同じく流用パーツを組んでいって手足も作ってしまいます。こういうのは 基本的に一昔前のガンプラ作る作業なので、楽勝にパーツが揃っていくのが 嬉しいところ。全体を組み上げてみて、かなりいいカンジ(嬉笑)。




8月29日(木)

 2日間飛ばしすぎたので、今日の作業は翼をつけるだけ。 せっかくだからここで変形させてみましょう。

 


 どういうコンセプトのメカを作るつもりか、ご理解いただけた と思います。

 もちろん、これだけでは外装とかデザイン的なかっこよさとかに著しく 乏しいので、ここから先、客観的にイメージを良くするべく 外装を取り付けていく作業が待ってる訳です。




8月30日(金)

 昨日の状態と比べて、お気付きでしょうが翼の取り付け位置を 変更しました。肩に付けるのはバランス的にはいいのですが、「思ったより かっこよくない」、「腕がなんか動かしにくい」などの問題が見えてきた からです。あと、頭部というかキャノピー周りも作ってみました。

 


 これがやりたくて、スケールを1/48にしたようなものです(喜)。




8月31日(土)

 今まで頭部の代わりにしていたセンサー部分が、あまりキャノピー周り とのバランスが悪いと感じたので、思い切って胸部装甲として作り変えて しまいました。こういう風に、作っている途中で自分の思うがままにデザイン を変えていけるのがオリジナルメカ造形のいいところです。ついでにいくつか パーツを増やしていきます。なお、隣に置いたのはサイズの比較用です (笑)。
 では、ここで本体の変形をお見せしましょう。




 キャノピー部分の装甲のスライドが判りますでしょうか? こういう機構を 作るのが実は楽しいんですな。


9月1日(日)

 尾翼、装甲などパーツを追加しただけなので今日は画像なし。
 ただ完成形は見えてきたので、明日か明後日には塗装寸前状態まで 出来ると思います。あ、もちろんきちんと仕事には行きますよ(笑)。


9月2日(月)

 残暑です。だから飲み会です。だからといって模型を作らない言い訳には なりません(泣)。
 パーツの段差を削る→パーティングラインに瞬着を流す→固まったら削る。

 こういうの作る上でたぶん一番辛い、地味な作業…。ビールでクラクラする 頭には多少辛い作業ですな。


9月3日(火)

 パーティングライン上に固まった瞬着を金ヤスリで豪快に削る。 ひたすら削る。

 根性根性根性根性根性根性根性根性根性根性根性根性根性根性根性!!

 金ヤスリで削った跡に、ペーパーを掛けていく。どうせ筆塗り、多少の 表面の削り跡は筆で塗った塗料の厚みに隠れるので、400番から間を挟まず いきなり800番を掛ける。もう全身に掛けていく。

 忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐忍耐!!




あーもうええ!!

 ともかく、あとはもうちょっとだけ薄手のプラ板でディテール付けやって、 もう下地塗装に入ります。この辺で妥協しないと、もう永遠に終わらなく なりますな、こういうのは。
 あと、コアであるプラ板組みのブロックが、ほぼ流用パーツに隠れたのが 確認できますでしょうか?


9月4日(水)

「植松のハンバーガー30分で50個の記録、未だに破られてない らしいぜ」
 …侠気溢れる話だなあ、「ぴたテン」(←済みません今日はサボリ)。

 
9月5日(木)

 そういうことで、昨日「ぴたテン」見ながら木部用エポパテの棒をカリコリ 削りだしていたのがコレ↓



 もちろん、メカの完成後に隣に並べて雰囲気出そうという狙いです(笑)。
 そして、メカ本体のほうもいよいよ塗装に入ります。



 まずは下地塗り。明度もあって下地の隠蔽力も強いというのもあって、 事業部長が日頃下地塗り使っているのはガルグレーです。もちろん筆塗り です。
 フフフ…この程度の大きさの模型なら、エアブラシなんざぁなくっても、 筆と己の腕一本ありゃあこんもんは…

あー欲しいなあエアブラシ!!


 もちろん、今日塗った分が乾いたらもう二度ほど下地塗料を重ね塗りし、 筆ムラもなくフラットにガルグレーの模型になった上から本体色を塗っていく 訳ですが…なまじ変形モノなんか作ったせいで、パーツが多くてもう大変 (ボロ泣)。
 (教訓)模型を作るときは、作業机の上をきちんと整理しよう。


9月6日(金)

 ひたすら塗装。もうひたすら塗装。塗ったすぐ上からどんどん乾いていって、 すぐに重ね塗りできるラッカー系塗料と違って、水性ホビーカラーって やっぱり乾燥は絶対的に遅い…。一応模型屋の主人から伝授された方法として 、タミヤアクリルの薄め液を使うことによって溶剤の成分を増やし、若干 渇くのを早くするというのも使っているけれど…。

「水性塗料は塗料の伸びもいいし、溶剤がシンナーでなくアルコール だから身体に無害でヘンなニオイもなくていいなあ!!」

 以上、事業部長兼水性ホビーカラー普及推進委員会終身名誉会長わたなべ。


9月7日(土)

 <インターミッション>

 模型雑誌で時々やる初心者のためのプラモの作り方みたいな記事で、よく 耐水ペーパーをハサミで綺麗に、直角に切って使っている写真を見かけますが …アレは絶対ウソです。



 絶対こうして、使うとき手で適当に破っているに決まってます。

 あと、平面をペーパー掛けするとき、よくカマボコ板とかに画鋲でペーパー を固定して使っているというのもよく見かける写真ですが…あんなにペーパー の使わない面積を増やすような方法、真面目に本当に使っている人は いるんでしょうか?



 絶対こうして、適当な大きさのプラ板の切りクズを挟んで平面に対応 しているに決まってます。てーか事業部長はこうとしか使ってないです (このままボチャッと水に漬けて使えるし)。

 実際の模型のほうは本体色の塗装がやっと終わったところ。明日あたり、 細部の塗装とかスミ入れまでやってみたいもんです。


9月8日(日)

 塗装っ、塗装っ、ひたすら塗装っ♪


9月9日(月)

 塗装、終了…(疲)。

 そういうことでスミ入れです。セオリー通りならここでいよいよ タミヤエナメルカラーと薄め液の登場ですが…、

 …1/144ドラグナー武器セットの可動指〜「ひでぶっ!」
 …1/144ジェガンの肘関節ぅ〜「あべしっ!」
 …1/100ウイングゼロ(TV版)の羽の根元の開閉部分〜 「たわばっ!」…etc’

 嫌なトラウマが直撃で蘇ってしまいますが、エナメル薄め液の石油成分が プラスチックに浸透して脆くしてしまうぐらい、皆さんもせっかく完成した ガンプラが動かしてるうちにパキンと壊れたという、多くの経験から 知ってのことと思います。そして事業部長の「可動部分が多いプラモ用 スミ入れ対策」は…、



水彩絵の具と中性洗剤です。


 2年ぐらい前の「電撃ホビーマガジン」誌で紹介されていた方法ですが、 たしかにこれなら石油成分がプラスチックを侵す心配もなく、スミ入れ 終了後にトップコートを模型に吹き付ければ定着もさせられます。
 しかし、そこは溶剤がアルコールの水性ホビーカラー、ぶっちゃけ 今度は中性洗剤の成分が塗料のアルコール成分を侵してしまい、余程 丁寧にやらないと、せっかく塗装した部分の皮膜がこすれ、剥がれてしまう という…。今のところ対処法は、こすれ落ちた部分の塗料をリタッチするしか ありませんが、とにかく残念ながら決して「これがベスト」という方法でも ないので、今後も試行錯誤を重ねて自分の製作スタイルに合った手法を 模索していくしかないのかもしれません。

 ただ、塗装を「こすり落とせる」というのは模索してみれば何らかの 効果に使えそうな現象でもあるわけで、こういうところから面白い発見に 繋げられるとよいのですが。


9月10日(火)

 Mr,スーパークリアーつや消し(本当は水性カラーの上から吹くのは トップコートなんですが)を吹いて…、




完成です!



「見ててくだせえお嬢さん…。お嬢さんの応援があってやっと完成した この機体、見事大空へかっ飛ばしてみせやすぜ」。 そんなイメージ(笑)。
 いやあ…本来は企画の使用素材に合わせ、1週間程度でパパパッと 終わらせるつもりだったのですが…ちょっと怠惰モード入ったせいか、 まるまる2週間かかってしまいました。

 しかしまあ、完成すればすればでこれがまた…、




これがやりたかったんやこれが!!

 生まれて初めて買ってもらったポピニカの記憶がホバーパイルダー号 という事業部長としては、「コクピットの透明キャノピーが開き、 人が乗っている」というのはこだわりたかった部分でありまして、そのうえ ついでに飛行機に変形(ついでかい!)というのは、

「模型は、作るプロセスを楽しみ、完成後飾っておくもの」

 …というルールというかセオリーが育ってないだけというか(苦笑)、 ともかく、完成した後もカチャカチャいじって楽しめるというのは アオシマミニ合体やロボダッチ、ゼンマイボックス付きヤマトシリーズを経て、 ガンプラに流れた世代人としての楽しみ方ですかね?



 変形後の各パーツの配置が判りますでしょうか? 以前紹介した 胴体部分の変形と合わせて、決して複雑難解な変形機構を入れていないのが お判りのことと思います。

 さて、この機体の名前ですがもちろん付けております。

K5Y1−Type93”Willow”または”ドラゴンフライ”、



通称「赤とんぼ」です。


 さて、かくして今回の企画も無事終了しました。本来はもらい物の模型を 押入れの肥やしにしたまま無駄な資源とすることなく、「限りある資源を 大切にね♪」という趣旨にて「もしかしたら地球に優しい企画」と 名付けたのですが、気が付けば、ジャンクパーツ類はもちろん、プラ板、 ポリキャップ、塗料や木部用エポパテに至るまですべてこれまでの余り物 を使用。今回製作用の出費一切なしの¥0で、地球でなく、自分の懐に 優しい企画となってしまいました…(汗)。

 しかし、いざとなれば部屋の余り物だけで趣味に没頭できる時間は作れる というのも証明できたと思いますので、そういう意味では皆様に紹介できる 企画になったのではないかと思っております。 模型の出来はともかくとして(泣)。

 上の画像のアリイ1/48「赤とんぼ」も、これまたいつか作りたいと 思っているのに未だ未組立のまま押入れの肥やしになっている模型…。
 自分にとって、「赤とんぼ」といえば郷愁ある飛行機の代名詞 みたいなもので、いつかはやっぱりきちんと完成させて、この自作の 「赤とんぼ」と並べてみたいものであります。

「事故死したエアレースチャンピォンの弟が、亡き兄貴への誇りと自らの 意地を賭けて、兄の形見の旧式機でエアレースに挑む」…そんなイメージの 世界観を自分の中で描きながら作りましたが、 自分の中に物語があって、その中で活躍するものを現実に具現化 していくのがまた模型作りという作業のスタイルのひとつとも思います。 いつかはきちんと、そうした物語もまた「読物」という形として 具現化してみたいですね。それは模型を完成させてくれた、 大事な原動力でもあるのですから。



 
豪雪地帯酒店・第二事業部は ものをつくりたいすべての人々を応援します。

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