第二事業部開設記念企画

100円ショップで購入した素材で模型は作れるか?


企画のために購入した素材。紙粘土、アクリル絵の具(!)など、しめて500円分(税抜き)。

 ご来店くださったお客様、どうもありがとうございます。
 こちら事業部初のHPということもあり、この事業部が主にどのような活動をしていくのか、今後の指針ともするべく開設記念企画として、「100円ショップで入手出来る素材、道具を使って模型を完成させる」という事業を開始しました。

 当事業部の所在地は、北国の片田舎にあります。当然営業活動フィールド内の模型専門店等の数も限られており、また近年の専門誌における「この材料を使わなきゃダメ」、「この道具を使用することを強力にお勧めします」等の謳い文句にて、「やっぱり専門の道具とかひと通り揃えないと造形は出来ないのか」と、せっかく造形に興味を持ってくれた方々の模型作りに際して、敷居の高さを感じさせている現状もあります。

 果たして「ものをつくる」という行為は敷居が高いものなのか? 造形は一部の、専門技術に長けた愛好家だけのものなのか? 断じて否であるはずです。

 制限された素材購入環境、製作環境が模型を作れない理由ではない。そのことを実証するべく、第二事業部は開設記念企画事業として「日本全国どこにでもある100円ショップで入手出来る素材での模型作り」に挑むこととしました。正直、事業部長としてもかなりヘタレな技術しか持ち合わせてはいませんが、「ものをつくるということは、作り手の意思次第でどんな環境でも可能なのだ」ということを実証すべく取り組んでいきます。どうかこのページを覗いてくださっている皆様の、忌憚ないご意見、ご感想をいただければ幸いです。(2002年8月15日記)




8月15日(木)

 とりあえず「どういうものを作りたいか」と簡単なイメージスケッチを描いてみました。元より事業部長の腕前は下絵に忠実な造形ができるほどではないので、完成イメージは作りながら決めていくつもりで、とりあえずざっと鉛筆書きした程度のものを描いていきます。
 企画にこだわるならば、スケッチブックも100円ショップで買ってくるべきでしたでしょうか(苦笑)?




8月16日(金)

 やはり道具にも100円ショップで購入できるものにこだわるべきと、粘土造形に使えそうなものを物色してきました。さすがに専用の粘土ヘラ等はおいてありませんでしたが、食器コーナーを覗いてみると、けっこう先端の細いスプーンやフォークなどが見つかり、これをヘラ代わりに使ってみようと実験的に購入してみます。しかしさすがにこまかいところまで造形できそうな道具はないか…と他コーナーを物色してみましたが、探してみればあるものです。
 ハイ「耳掻き」です。
 



8月17日(土)

 いよいよ製作開始です。まずはこの段階まで、大まかに形を作ってみました。しかし何分粘土造形に関しては素人同然の事業部長のこと、こういうのを作るのに長けた方から見ればものすごく歯がゆい作り方をしているかも知れません。
  もちろん購入した道具も、半分意地になって使っています。とにかく実際使ってみて一番役に立ったのが耳掻き。ナイフも意外に馬鹿に出来ず使えます。

 とにかく、木部用エポキシパテという速乾性で加工しやすい素材は使い慣れていますが、純然なる紙粘土(ファンドなどといった造形用のものも含めて)というのはほとんど初めて使用する素材ですので、まずは手を動かして未知の素材、未知の工具に慣れていくしかないのですね。




8月18日(日)

 さらに粘土を盛って、全体のパーツを揃えていくとともに昨日作った部分に手を入れていきます。
 ここで新兵器の登場です。「彫刻刀」です。これも4本セットで100円の物。粘土が乾いたところからカリコリ刃を入れていきます。ここで結構困ったのが紙粘土の繊維のケバ立ち。指先を水で濡らして均していくとはいえ、事業部長の乏しい知識においては元来紙粘土造形というのは、「徐々に盛り付けて、形を出していく」ものであり、決してパテ造形のように「大まかに盛ってから、形を削りだしていく」ものではないのです…。

 思わぬところで、自分の手馴れた手法によって苦戦を強いられることとなりましたが、今回の事業は事業部長本人の勉強も兼ねています。まずは修正を繰り返しつつ完成を目指していかなければ。




8月19日(月)

 粘土乾燥待ち。ビデオ鑑賞中。




8月20日(火)

 各パーツのボコボコした凹凸を平刀で削り落とし、水で濡らした指先で表面を均していき、いよいよパーツを組み立てます。
 そしてついに塗装準備です。恐ろしいことに塗料類はすべて「アクリル絵の具」を使うつもりでいます。今回、すべての素材、道具を100円ショップで購入したもので模型を作るというテーマゆえ、本来こういうものを塗装するときにはまず使わないというものを使用していますが、まさに今回の事業の真骨頂かも知れません(苦笑)。
 なお、パーツの組み立てにはこれまた100円ショップで購入したゼリー状瞬着を使ってます。




8月21日(水)

 粘土乾燥待ち。
 芸人をさがせ!「松ちゃんはどこ?」
 



8月22日(木)

 塗装開始です。
 と言うかできちゃいました(汗)。

 いやあ…おこがましいながら一応ハウトゥー的な要素も入れた企画のつもりだったんですが、まさか本当に、パレットで色を作り始めて、乾燥時間も含めて1時間半で塗装が終わってしまったというのは…。はっきりいって見てくださってるお客様の何の役にも立ちません(平謝)。
 とにかく紙粘土にアクリル絵の具という組み合わせがベストだったのか、本当にまさか仕事もあった平日に、1日かからず塗装が終わるというのは…。なんだか今後も同じようなの作るとき、紙粘土とアクリル絵の具ばっかり使うようになってしまいそうです。

 一応ながら、目の塗装については昔模型本で読んだ「綾波レイの目の塗り方」なる記事に添っており、事業部長はこういうの作るときその手法を凄く重宝しています。一応説明すると、
 先に顔の肌色を塗ってしまい、白目を塗る。→目の中のカラー(作例の場合は青)を、筆先でベタ塗りする。→カラーの中央に黒目を入れ、面相筆で目のラインを入れる。→白でハイライトを入れる。
 という具合です。
 ともかくこれで本体の工作は終了しました。しかしさすがにこれでお終いでは味気ないので、最後にディスプレイの工作などやってみたいと思います。


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8月23日(金)

 いよいよ完成間際です。今回のディスプレイのために 用意していた素材を揃えます。フィギュアの手前にあるのは、 これまた紙粘土製によるディスプレイ用の岩。タンブラーの縁に 合わせて適当に盛った紙粘土を、黒く塗った上から明度の違うグレーを タッチするように乗せていったもの。もちろんディオラマ作りとかでは もうお馴染みの手法です。ちなみにひまわりは豪雪地帯酒店本店に 飾られていた造花を一本拝借。

 さて、これらの素材を 組み合わせて、ついに…、



完成です!





 実際短期間で作ったものですし、アップで見ると表面処理も 結構ボコボコしてたりと決して誉められた出来ではありませんが、 ともかく「100円ショップで購入した素材で模型を完成させる」 というテーマをまっとう出来たことは、ホームページ開設記念企画 として八割方成功だったかなと思っております。もちろん、残り二割は まだまだ事業部長本人のスキル不足と…。何せ、「上からTシャツを 着た水着の女の子」を作ったつもりが、「運動服にブルマ」という 怪しい組み合わせにしか見えないというのが…(泣)。

さすがに一流原型師の方の作品みたいにとはまだまだ行きませんが、 まずは今後も精進を重ね、きちんと人前にお見せできる作品を目指して いきます。どうぞ今後とも当事業部をよろしくお願いします。

 なお、今回使用した道具、素材はタイトル通りすべて地元の 100円ショップで購入したもの。
 紙粘土、ヘラ代わりのフォーク3本、耳掻き、アクリル絵の具6本 セット、筆3本、パレット、タンブラー、ビー玉、予備の白絵の具 (未使用)、ゼリー状瞬着などしめて1500円分。
 意外に費用 がかかったというのもありますが、「あくまで材料、道具など すべてゼロの段階から新たに造形を始める」というのも今回の 企画の趣旨なので、これでとりあえず使える道具が揃ったという 意味ではまた次回の造形に繋げられると思います(もちろん、 「弘法大師筆を選ばず」ではありませんので、きちんと専門の工具などを揃えることに越したことはありませんが)。

 最後に、拙い作品ながら今回の企画が見てくださった皆さんの、「ものをつくる」手を動かすきっかけにだけでもなってくれれば幸いです。



 
豪雪地帯酒店・第二事業部はものをつくりたいすべての人々を応援します。

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